第3次ティアマト会戦(2)
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ムラサメ、死ぬのが嫌なら捨てろ!」
『ポプラン、敵が追いつくぞ』
「ムラサメ!」
『パ、パージします!』
しかし、ここで最悪の事態が起こった。スパルタニアンに増設されたその歪な設備を強制パージした瞬間、ムラサメ機のバランスが完全に崩れたのだ。ポプランなら、コーネフなら、そのような振動も制御してみせただろう。だが、ムラサメにそれだけの技術はなかった。
ガン、という衝撃音がムラサメのマイクからポプランに伝わる。
とっさに振り向いたポプランは、後方で大きく前のめりに態勢を崩した、ムラサメ機を見つけた。
「バランスを取り戻せ、操縦桿を離すな!」
ポプランはディスプレイの向こうのムラサメに叫んだ。
『ポプラン隊??』
だが、ディスプレイの映像は途切れ、彼の後方に爆発の光が上がった。
ポプランの心臓が一瞬止まる。
だがその次の瞬間から、彼の体をアドレナリンが駆け巡った。
心拍数が急速に上がる。
静かに、操縦桿を握り直した。
『……ムラサメ機撃墜』
「くそったれ!」
コーネフから感情を殺した報告がされた刹那、ポプランは操縦桿を思い切り引き上げる。
フットペダルを踏み込み、
猛烈なGがポプランを襲う。
視界が赤くなるほどの重圧の中、
ポプランは的確に操縦桿を動かした。
スパルタニアンをコントロールする27の噴射ノズルが有機的に炎を吹き上げる。
機体が宙返りをして、
一気に加速した。
『ポプラン!』
「コーネフ! おまえは先に行け! 俺がここで足止めをする!」
『だが!』
「追いつかれるよりここで釘付けにした方が良い! それに本部に早くこの奇襲を教えろ!」
『……死ぬなよ』
コーネフ機が一気に加速したのが、近距離レーダーに映っていた。ジグザクと機体を動かしながら、瞬く間にスピードを上げて行く。宇宙を漂う漂流物に衝突しないよう、猛烈な勢いでそれらを回避しつつ、コーネフは味方のいる方向へ飛び去って行った。
「俺を誰だと思っている!」
ポプランはまっすぐ突っ込んでくる先頭のワルキューレに向かう。
ウラン238弾で弾幕。
敵が下方に逃げようとして、
鋭くロール。
機体上部の中性子ビーム砲を向け、
すれ違いさま、
ワルキューレのコックピットを切り裂いた。
アドレナリンで興奮状態にあるポプランには、コックピットから溢れる血の色すら、視認できる。
「一機!」
ポプランは叫びながら、機体を半ループさせて距離を稼ぐ。ポプランが生きて戻るには、徐々に味方艦隊に近づきつつ、敵を足止めするしかなかった。彼はコーネフに言ったように生きて帰るつもりだった。
敵機は23機。
だが、勝機がないわけではない。
ポプランがもっとも有効と考える空戦戦術は、三対一で敵を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ