第3次ティアマト会戦(2)
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わり、拡大図が表示された。光の筋が数十筋見える。
「総員回避しろ!」
ポプランは急激に機体を傾けた。視界の端でコーネフ、ムラサメ機が同じループを描くのが見えた。
『解析完了……こ、これは!』
「フレア放出! デコイもありったけ出せ!」
後方で爆発の閃光が奔った。
『対空ミサイルのお出迎えだ!』
これはコーネフの言葉だった。
ポプランは機体を非直線軌道に操り、敵からの照準を外しながら、頭上をもう一度見上げた。宇宙は黒かった。だが、そこに光が灯され始める。更に遠距離からの中性子ビーム砲が発射されてくる。
『ポプラン隊長! て、敵艦隊です!』
一目瞭然であった。風防ディスプレィに表示された敵艦マークは画面を覆い尽くさんばかりだった。さきほどまではほとんど動きが見えなかったそれらのエンジンに、エネルギーが注ぎ込まれるのが赤外線センサーで確認できた。それらが猛烈な勢いでこちらに迫りつつある。
「数は!」
『や、約1万!』
それはさしものポプランの想像をも越えたものだった。まさかこんな同盟軍の側面に、しかもこんなに近くに敵の艦隊が進んでいるとは、予想もしえなかった。
『ポプラン、これは敵の三分の一の艦隊だ。同盟の横っ腹を突き刺すつもりらしいぞ』
「ムラサメ! すぐに本部に伝えろ!」
『駄目です!』それは悲鳴だった。『敵の電子対抗手段出力が最大になりました。敵の妨害網に歯が立ちません!』
「コーネフ、ムラサメ、ここは退くぞ! 流石の俺でもこの数を相手にしようとは思わん! 俺は勇猛な男だが、無謀な男じゃないんでな!」
『俺も同感だ』
その時、かなり距離を近づけてきた艦隊の艦砲射撃が止んだ。ポプランは気付く。
「敵がワルキューレを出すぞ! 増槽を捨てろ! 最大速度で本隊に帰還する。敵に足を止められるな!」
ポプランは操縦桿横のボタンを殴った。一瞬の衝撃のあと、増槽が外された表示がディスプレイに映る。
コックピッドは警報が鳴りっぱなしだった。新たに後方センサーがワルキューレ部隊の出撃を確認した。どうやら敵は奇襲を最大限に有効にするため、邪魔者たちを生きて帰さないつもりらしい。
『敵ワルキューレ部隊、24!』
「悲鳴を上げるな、ムラサメ! 俺たちで山分けしても8隻だ! ちょろいぞ」
彼らは直線にならないようにしながらも、可能な限りの速度でスパルタニアンを操る。だが、ワルキューレは運動性でスパルタニアンに勝る。徐々に距離を詰められる。
その中でも、ムラサメ機の遅れが目立ち始めた。
『ムラサメ! 通信設備を捨てろ! 敵に追い付けられるぞ!』
『し、しかし??』
ムラサメが反論する。試作型だけあって、その持ち帰りは重要事項だったからだ。だが、それも生きて戻れればの話である。
「
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