導く者、羽ばたく者
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どこに?」
俺の手は震え、手に持った携帯はミシミシと音を立てているが、須郷さんと敬語で言った努力を褒めて欲しい
相手は今、会社を退社しました、と言った。ただ、片方の目がおかしかったと追加情報をもらった
「(キリト……ちゃんと助け出せたんだな。後は、俺に任せろ)」
VR世界で破れた須郷が向かう先はただ一つ。俺は、須郷に止めをさすためより一層足に力を込めた
場面変わってアスナの病院の前。須郷はおそらくアスナに会いに来るキリトを待ち伏せするつもりだろう
「……来た……」
向こうから一台の車が入ってくる。そこから降りた男の目は、不自然に歪んでいた
「こんばんは。いい夜ですね」
俺が声をかけるとビクッと体を強ばらせた
「こ、こんばんは。こんな時間に君はいったい何をしているんだい?早く家に帰りたまえ」
「人を待っていたんですよ」
「人?」
「ええ……あなたを」
「僕を?」
「ALO。キリトとアスナの親友とでもいえばわかりますか?須郷伸之」
そう言った瞬間笑顔を貼りつけていた須郷の顔が凍り付く。次いでそれは怒りと狂気に染まった表情に変化する
「またか、また僕の邪魔をするのか……」
何事か口の中でグチグチ言ってから顔を上げて
「殺す」
そう言って服の内側からサバイバルナイフを取り出した
俺はポケットに入れていた手を外に出し、自然体に構える
「死ねぇぇぇぇぇ!」
そう叫んでナイフをこちらに振り下ろしてくる。俺はそれを右に避け返す刃で蹴りを放つ。体重移動も考えない、そんな一撃を放った後の須郷にそれは躱せるわけがなく直撃し、向こうにあった車に叩きつけられる
「いつも、そうだ。僕の欲しい物は他の人が奪っていく。才能に溢れた人が全て。そして、僕を見下してるんだ!全てを奪われた僕を!!」
それは俗にいう一般人の言葉だった。一般人の妬み。それはまわりが非凡であるほど増大する。須郷の場合は茅場だろう
「確かに、才能がなければできないこともある。努力だけじゃどうにもならないことがある」
でも、それでも
「一般人だから、凡人だからこそできることがある。何人かが協力すれば天才に勝てるかもしれない」
綺麗事かもしれない
「お前は才能を言い訳にして自分のやっていることを肯定しようとしている。自分自身を一番見下してるのはお前自身だ」
俺も凡人だ。茅場のように発明の才能があるわけでもなく、キリトのように主人公になれるわけでもない。だからこそ、言える
「凡人を侮辱するな」
俺はとりあえず、須郷を引きずり車と車の間に入る。数分後、キリトが慌てた様子で走ってくる。俺は
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