暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
まさかの一泊
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た。

キミは……キミは、人が嫌いなんじゃないんだね。ただただ、怖かっただけなんだね──

そんな言葉は、自然に口から漏れでた。

少年は力なく首を振る。それは違う、と。自分は最低で最悪のバケモノだ、と。

ねぇ、ひとつ聞いていい?

あたしは訊いた。

レンは無言だったがそれを肯定と取って、構わずあたしは続けた。

人を殺すのって、どういう感じだったの?

そうあたしは訊いた。聞きようによっては、その質問は恐ろしく鋭利で残酷だったことだろう。それでも少年は答えた。答えてくれた。

ただ一言。

楽しかったよ、と。

だがその答えと反して、その表情に明るさは皆無だった。覇気がなく、眼が濁っている。

だから、あたしは言った。

今は?

レンは力なく笑いながら答えた。

悲しいよ、と。

悲しくて哀しくてかなしいよ、と。

そして、レンの瞳から大粒の涙が溢れだした。それは宝石のように美しく頬を伝い、足元の葉の上に落ちて音もなく消えた。

その涙をこぼしている少年を、思わずあたしは抱き寄せた。限りなく優しく、けれどしっかりと。

レンはしばらくの間、あたしの腕の中で嗚咽を漏らしていたが、やがてそれも聞こえなくなった。代わりに聞こえてくるのは、すぅすぅという可愛らしい寝息。

おやすみ、と言いながら、あたしの意識も優しい闇の中へと落ちていった。
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