事は動き始める
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との攻防で、国内の守備隊の規模は年々縮小していた。それを戻す、と考えれば間違ってはいない。それに、フロルの言う通り、むやみに手駒の艦隊を失うのも惜しいのだ。
??悪くないかもしれない。
??それに、
??この男も、使える。
トリューニヒトは満足だった。フロルは自分に媚びへつらうことはしないが、避けようともせぬ。それに有能で、自信家でもあるようだ。
「君はなかなか政治的センスもあるようだ」
「恐縮です」
「わかった、話はその流れで進めていよう。もう少し待ってくれれば、君をパストーレくんの元に戻してやれるだろう」
この時、フロルは自分の致命的なミスを悟った。自分はそんなこと、毛ほども望んではいないのだ。だが、トリューニヒトはそれがフロルの喜ぶことだと思っている。そして何より、トリューニヒトは私に恩を売ろうとしている!
例えそれが恩ですらなく仇であっても、相手が恩と考えていればこちらはそれを返さねばならないのだ!
何よりトリューニヒトが自分を味方にできると考えていることが拙いのだ。フロルは中立になろうとしていたが、トリューニヒトはそう受け取らなかったのだから。
「い、いえ。私は別に??」
「気にすることはない。パストーレくんの強い希望もあるのだ。もうそろそろ、自分の腹心の部下を、自分の艦隊に戻したいとね」
??それはそうだろう。無能なのだから、まともな部下がいなければ戦死するだろう。
??もしかして、トリューニヒトもそれに気付いているのだろうか。
つまり、フロルという有能な軍人をおべっか使いのパストーレの補佐につけ、自分に都合の良いパストーレの戦死を防ごうというものであった。更にはフロルの歓心も手に入り、一石二鳥とトリューニヒトだけが思っていたのである。
「待っていたまえ、国防委員長たる私が融通を利かせてやろう。なに、それぐらい大したことではない」
フロルは諦めた。ここで何を言ってもトリューニヒトはそれを聞かない。
「……はい」
「それでは、また会おう、リシャールくん」
フロルは猛烈に頭を動き始めさせた。自分はこれでトリューニヒトに恩を売られてしまうのだ。押し売りであっても、それは恩。これはトリューニヒト派軍人に組み込まれることではないか。彼は拙くなった自分の立場について、パーティーの終わりまで頭を巡らすことになる……。
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※訂正※
ルビンスキーにとっては→ルビンスキーは
ハインリヒ4世→フリードリヒ4世
選出されている→選出している
ラジエーター→アジエーター→アジテーター
効→利
わかるのだの文脈
アスタ
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