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【旧】銀英伝 異伝、フロル・リシャール
事は動き始める
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部とは同盟政府の国防委員会の下部組織に当たる。後方勤務本部、技術科学本部がこれに並び、更に防衛、査閲、人事、情報など9部局が国防委員会の下につく。ちなみにドワイト・グリーンヒルは情報部の部長を兼任している。
 軍事行動の主幹を成す宇宙艦隊は、統合作戦本部の属するところのものであった。つまりシトレ元帥は制服組のトップであり、戦時における最高司令官代理でもあったのだ。

 その彼が今、考えているのは第11艦隊の処遇だった。先の会戦で、20名近くの少将、准将クラスが戦死していた。一番の有力株であったウィレム・ホーランド少将も先の会戦で戦死し、大将へと死後昇進をしている。彼は自分をブルース・アッシュビーの再来と自負していたようだったが、戦死してもその記録を抜くことは出来なかったようだった。
  副司令であるルグランジュ少将などもなかなかに有能な少将であったが、功も立てずに中将昇進、艦隊司令官任命をすることはできない。差し当たって、適当ではなかった。
 シトレは一度には、宇宙艦隊総参謀長であったドワイト・グリーンヒルの顔を思い出した。だが、彼はここ数度の活躍により、統合作戦本部次長が内定している。今更一個艦隊の指揮官をせよ、ということも頼めまい。
 しかしながら、シトレ元帥はドワイト・グリーンヒル大将を呼び出した。彼にも同じ悩みを共有してもらおうと、考えたのである。そして彼を待つシトレに、とある電話が入った。彼は苦々しくそれに受け答えしていたが、最後には承諾の言葉を口にしたのである。


 そのやり取りの10分後、グリーンヒルはシトレの元に出頭した。
「グリーンヒル大将、実は君に考えて欲しいことがあったのだが」
「第11艦隊のことですかな」
 グリーンヒルは言われる前に答えを言った。シトレは重々しく頷く。グリーンヒル大将は有能であった。彼は将来の統合作戦本部長との呼び声も高い。軍の中でもっとも良識的であり、若い者の間でも信頼が厚い。最近の会戦では宇宙艦隊司令長官であるラザール・ロボス元帥と共にいることが多いが、このシトレ=ロボスの競争関係においても、中立を保つ紳士であった。

「貴官はこの人事、どうすればよいと思う」
「人事部はなんと?」
「臨時に少将レベルの者を艦隊司令にせよ、と」
「それは少し……」

 グリーンヒルは眉を顰めた。別にそれは前例にないから、というわけではない。少将レベルの者を艦隊司令に据えると、他の少将が大きく不満を抱くことが目に見えているからである。軍の階級制度に置いて、上の階級になればなるほど人数が減るのは道理であったが、特に少将と中将の境には大きな狭間があったのである。少将はせいぜい数千隻の分艦隊司令、だが中将になるとこれは辺境星域の司令であったり、宇宙艦隊の司令を務められる。その大きな距離を、むやみに乗
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