X'masパーティーはいかが?
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X'masパーティーはいかが?
クリスマス・イヴ。
その日、フロルとカリンとキャゼルヌ夫人はフロルの新宅に集まっていた。フロルは准将に昇進したので、家が新しくなったのだ。ヤンのようなめんどくさがりは、いつまで経っても少佐時代に与えられた官舎に住んでいるようだが、フロルはもらえるものはもらっておく主義だった。広くなった家は客を十何人呼んでも充分な広さある。ちなみに場所は同じE《エコー》地区。ヤンの家、マルガレータの家、キャゼルヌの家から近いままだった。
カリンとフロルはクリスマス・ケーキを作り、キャゼルヌ夫人はメインディッシュを作っている。フロルも手伝いを買って出ているが、キャゼルヌ夫人の手際の良さの前には大した役には立っていない。ターキーの丸焼きなど、パーティーの準備は着々と進んでいた。
一番最初に到着したのは意外にもユリアン・ヤンのペアだった。どうやらユリアンが出不精のヤンを無理やり引っ張ってきたようである。家に着くなり、ユリアンはカリンに手伝いを申し出て、断られていた。
「ヤン、早いじゃないか」
フロルはホイップクリームを泡立てながら、居間に入って来たヤンに声をかける。やることがないユリアンは、フロルに断ってからティーセットを持ち出してヤンのためにお茶を入れているようだった。
「ユリアンが遅れない方がいいって言ってね」
ヤンはベージュのチノパンに青いワイシャツ、その上黒にカーディガンを着込んでいた。どこから見ても、軍人には見えない。どこからどう見ても学者というところだった。もっとも、まだ見られる格好なのは、これでもユリアンに窘められたということだろう。
ちなみに、カリンはフロルがクリスマス用に買って上げたドレスを来ている。白とピンクが、フリルで溶け合った可愛らしいドレス。今はエプロンをして作業しているが、天使のように可愛らしい。
フロルはというと、チノパンに白いワイシャツ、タイにジャケットだったが、今はワイシャツの腕を捲って、料理中である。
「それにしても、まだ1時間半あるぞ」
「ユリアンが言うらしいことには、私が時間通りに行こうとすると、2時間は遅れることになるから、だそうです」
フロルがユリアンに目をやると、片目を瞬かせた。ウィンクではない。きっと、黙っているように、というジェスチャーだろう。ユリアンは、自分がカリンに気があることを、フロルに気付かれていると思っているのだ。
「ユリアンもなかなかカッコいいじゃないか」
「ええ、私よりもずっとね」
「やめてくださいよ。フロルさん」
彼は恥ずかしそうに笑ったが、亜麻色の髪を持った美少年の正装は映えるものがあった。カリンに会うため、気を引き締めて来たのだろう。
パーティー開始時刻の30分前にやって来たのは、イヴリン
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