X'masパーティーはいかが?
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カは一つ深呼吸をする。諦めたのだ。
「……わかりますか」
「ええ、そりゃあね」
フロルはカリンの作ったケーキをフレデリカに渡す。
「カリンの入魂作です。お家でどうぞ」
「ありがとうございます」
「フレデリカさん、もし、よかったら、また家に遊びに来て下さい。カリンもフレデリカさんを気に入ったようだし、それに、あなたは良い人そうだ」
「はぁ」
「あなたを呼ぶ時は、必ずヤンも呼びますから」
「……ありがとうございます」
「あいつはしぶといですよ。それに輪をかけて鈍感だ。でも大丈夫。あなたに落ちない男はいない。だから、頑張ってください」
フレデリカは奇妙な気持ちで、フロルの言葉を聞いていた。
(なぜ、私は励まされているのだろう)
そんな根本的な疑問を感じつつも、その提案が非常に魅力的であることも実感していた。それに、フロルに下心がないことも、パーティーでイヴリンと話した時に知っていた。
(フロル・リシャールという男は、本当に私を応援しているのではないか?)
聡明で鳴らした彼女にしては珍しく、やや混乱した頭のまま、フロル宅を辞することになったのである。
「今日は、楽しかったかい?」
フロルは眠くなってソファーに横になっていたカリンのすぐ横に座って、そう問いかけた。微かに目を開けたカリンは、自分の頭を優しく撫でているのが、フロルであることに気付くと、そのまま撫でられるがままにして、目を瞑った。そして小さく頷く。
「明日は、ビュコック夫妻にカリンのケーキを届けに行こう。だから、今夜はもう寝よう」
「うん」
カリンは幸せだった。彼女の人生で、これだけ賑やかで、幸せで、明るいクリスマスイヴは初めてだった。そのなんと幸せなことだろうか。そして、それをもたらしてくれたのが、フロルであることも気付いていた。
「フロルさん」
「ん?」
「ありがとう」
「……カリンが幸せなら、俺も幸せだよ」
「うん」
「さぁ、寝よう。サンタさんが来る前に」
「サンタさん?」
「子供たちが欲しいプレゼントを、子供たちに配って歩くって言われる、伝説のお爺さん」
「じゃあ私にはフロルさんがサンタね」
「俺はお爺さんじゃないけどね」
「うん、だけどサンタさんみたい」
「そうかい」
「うん」
「さあ、おやすみ」
「う……ん……」
「いい、夢を」
??ありがとう。
??幸せを私にくれて。
??ありがとう……フロルさん……。
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※訂正※
ヤンとキャゼルヌ→ヤンはキャゼルヌ
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