X'masパーティーはいかが?
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「まったく……」
カリンはフレデリカに可愛らしく自己紹介をしている。マルガレータはのっそりと居間に入って来たシェットランド・シープドックのエリィの可愛さにハートを奪われたようだった。その頭を撫でている。ヤンはキャゼルヌからフレデリカの美貌についての感想を求められ、困ったように頭をかいている。アッテンボローはシャルロットとクリスティーナに変な顔を見せて笑わせていた。ユリアンは緊張しながらも、グリーンヒルと和やかに話している。ベンドリングはマルガレータの幸せな笑顔に、いくらか満足したような顔だった。
今、この瞬間の幸せを実感するように、フロルは腕の中のイヴリンを抱きしめた。
少しの後、大方の食料が消費され、皆の主食がデザートとティーとコーヒーに移行した頃、フロルはドワイト・グリーンヒルを伴ってバルコニーに出ていた。12月の空は冷え込んで、息は白く曇っていたが、酒の火照った熱さを冷やすには、ちょうど良いものだった。
「今夜は来て下さって、ありがとうございます」
フロルが最初に口を開いた。
グリーンヒルは手に持ったコーヒーのマグカップを持ちながら、それに頷く。
「実を言うとな、リシャール准将、私は来る気がなかった」
グリーンヒルは口を斜めにしながら言った。なぜかなかなかマグカップに口をつけない。
「猫舌でね」
訝しげなフロルの視線に答えるように、グリーンヒルが言う。
「それでは、どうして?」
「君が娘に招待状を送っただろう? なぜ、娘にも招待状を出した?」
「グリーンヒル大将閣下一人では、こういったプライベートなパーティーに来にくいと思いました」
「まぁそうだろう。私も、一人だったら来なかったに違いない。だが、娘に強く薦められてね。普段はパーティーを避けて通るような娘が、だ。私すら置いて行きかねない勢いだった。いったい、君は何をしたんだ?」
フレデリカは、ただ一つ、ヤンの傍にいることだけを願って、今までの青春を軍事に捧げている。言わば仕事人間なわけで、趣味もまともに持ってないだろう。料理の腕だって大したものではなかったはずだ。色事にも無関心だった彼女が、急にこんなパーティーに来たがれば、グリーンヒルが不安に思うのも仕方がないだろう。グリーンヒル大将との関係改善と、フレデリカの宿願成就を一石二鳥で願ったが、それが裏目に出たかもしれなかった。
だから、フロルはここでグリーンヒルに事情を話すことにした。
だが、問題は言い方である。
「お嬢さん……、フレデリカさんには彼氏がいませんよね?」
「おまえに娘はやらんッ!」
この場合、フロルの切り出し方は最悪に近いものだった。
「いや……私にはイヴリン・ドールトンという女性がいますから……来年中に求婚しますし」
「あ…
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