X'masパーティーはいかが?
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
にマルガレータの後見人を買って出た、ということになっている。だが、裏付けをとらない同盟軍ではない。同盟軍の、それも情報部が策動し、イゼルローン要塞からヘルクスハイマー伯の艦に攻撃をしかけた未確認の帝国巡航艦の存在を突き止めた。フェザーンに残っていた航空記録、ベンドリング少佐という名の将校がフェザーンではなくイゼルローンにいたという事実、そして同時期発生した同盟警邏部隊の相次ぐ未確認敵艦と交戦、破壊。そして決定的だったのは、手土産として持って来る、とヘルクスハイマー伯が言っていたにもかかわらず、不《・》慮《・》の事故で失ったという幻の指向性ゼッフル粒子発生装置の存在。点と点を繋げば、それは線になり、それは次第に形を表し始める。同盟軍情報部も無能ではない。独力でだいたいの真相は探り出していた。もっとも、どの巡航艦がそれを成したか、だけは調べられなかったが、それもフロルは知っていた。
あの、ラインハルト・フォン・ミューゼルの乗っていた巡航艦だ。
「この2年間、同盟軍の実態を見てきたあなたは少なからず同盟を軽んじられたかもしれない。ですが、無能者ばかりではないのです」
「そのようですね」
ベンドリングは冷や汗をかきながら悟った。この男はほとんどの事象については知っている。
??もっとも、皇女の秘密までは知っていないだろうが。
事実を言えば、フロルは知っていた。だが、それを明かせば情報源を探られる。恐らく、帝国すべての国家機密中でも最高レベルの秘密を、同盟の准将が知っているのはさすがにまずいと考え、言わないだけである。
「それで、私に何の話ですか? あなたはほとんどのことを知っているようだ。何を聞きたいのです?」
「私はあなたにお願いが会ったのです。ベンドリング中佐」
フロルはグラスを置いて、シンクによしかかり、ベンドリングを見つめた。
「私は今、帝国にスパイ網を作り上げようとしています。そのために、あなたの経験と能力をお借りしたい」
ベンドリングは思わぬ話の展開に驚いたようだった。それもそうだろう。今はただ後方勤務をしている亡命者に、同盟の秘密作戦について語っているのだから。
「私は……もうあのような世界に飽いたのです、リシャール准将」
ベンドリングはフロルの目線から目を逸らしながら言う。
「私はマルガレータさまと一緒に、……いや、マルガレータと一緒に同盟で平穏に暮らしていきたいと、そう思っているのです。もう、私をあのような世界に引き込まないで下さい」
「ではなぜあなたは軍人をしているのですか?」
「……私は男爵家の三男でした。そして軍人として帝国の碌を食んでいた者です。私は軍人以外の職を知らない。マルガレータを食わせていくには、仕方がないのです」
ベンドリングは苦しそうに言った。軍をやめると言って
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ