X'masパーティーはいかが?
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表現している。これが二人の力作だった。小屋にはミルフィーユ、木輪には細いバウムクーヘンなど、手が込んでいること凄まじい。味は保証済みだったが、見事すぎて手が付けにくいということだった。
もっとも、切り込むのを躊躇している女性陣に気付かず、ヤンがそれを思い切り崩したせいで、一時的にヤンが四面楚歌になっていたが、それもヤンらしいと言えばヤンらしいだろう。カリンも、自分の作った料理が皆に喜ばれていることを、とても喜んでいるようだった。
そんな時、フロルはこっそりとミスター・バウムガルデンを呼び出した。キッチンの料理を運ぶのを手伝って欲しい、と言ってキッチンに誘い出したのだった。フロルは今日の午前うちに、バグダッシュの協力も得て、マルガレータの亡命記録を手に入れていた。つまり、彼がかつてのベンドリング少佐??今は中佐??であることも、既に知っていたのである。フロルはその上で、ベンドリングに頼みたいことがあったのだ。
「ベンドリング中佐」
彼は捨てて来た名を呼ばれたことに驚いたようだった。目を見開き、グラスを持つ手に力が入る。
「その名を、どこで知りましたか?」
フロルと同年代であろう青年は、苦しそうに聞いた。
「私は、情報部に知り合いがいましてね。あなたのことも存じ上げています」
ベンドリングは、目の前の准将の正体を掴みかねていた。
昨日、マルガレータさまは嬉しそうに話して下さった。彼女が街中で引ったくりに遭い、それを助けてくれた青年准将。そして彼はお嬢様の御学友の保護者であり、クリスマス・パーティーに誘われた、ということ。彼女にとっても、ベンドリングにとっても、貴族社会に置けるクリスマスのパーティーは単なる社交場の外交機会に過ぎない。だが、同盟でのパーティーは本当に楽しむためのものが多い、というのはマルガレータもベンドリングも認める同盟の美点だった。彼女は同盟に亡命してから初めて人にパーティーを誘われた、と喜んでいた。ベンドリングもせっかく彼女が喜んでいるなら、と参加して来たのだが、そこにこのフロルの話である。
「私はもう亡命した身です。亡命した際に話したこと以上は、知りません」
「いいえ、知っていますよ。アーベンドロード少将から情報士官として巡航艦に乗り込み、あなたが何をしようとしていたか、私は知っている」
「な、なぜそれを!?」
「ヘルクスハイマー伯が同盟に亡命するに当たって、手土産のことを知らせていないと思いますか? 指向性ゼッフル粒子発生装置、あなたがたが追っていたものはそれだ」
ベンドリング少佐の調書によって作成された公式記録では、ベンドリング少佐はヘルクスハイマー伯の亡命団にもともと乗っており、フェザーンから同盟に亡命の途上、不慮の事故で死亡したヘルクスハイマー伯一家の代わり
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