X'masパーティーはいかが?
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だった。
「フロル、お久しぶり」
「三日前に会ったばかりじゃないか」
「でも充分、久しいでしょ?」
フロルは思わず笑いを零した。思えば、現代日本でクリスマスと言えば恋人と二人きりで過ごすこと言ったのである。今年はみんなで祝っているのだから、来年はイヴリンと二人きりで過ごしたい、と思っているフロルだった。
「料理はどう?」
「キャゼルヌ夫人が凄いよ」
「お菓子は?」
「カリンと俺の力作」
「それは期待できるわね」
イヴリンはそういうと舌なめずりをする。官能的な唇。一瞬、フロルは違うことを思い出し、軽く頭を横に振った。横を見ると、ケーキを作る手を止めて、カリンがフロルをじと目で見ている。苦笑いをしながら、フロルはイヴリンのおでこに軽くキスをした。イヴリンも料理班の邪魔にならないように、居間でユリアンの相手でもするようだった。
午後7時5分前、というところでアッテンボロー、キャゼルヌが現れた。キャゼルヌは赤ん坊の次女、クリスティーナを背負い、右手にシャルロットと手を繋いでの登場である。4歳になるシャルロットは、これはこれで非常に可愛らしい。ユリアンによく懐いているようで、ユリアンも頭を撫でてやっていた。アッテンボローはケーキのホイップをつまみ食いしようとして、カリンに怒られている。みんな、思い思いに寛いでいるようだった。
そして招待状に載せた時刻、午後7時にマルガレータと、自称叔父が現れた。当然といえば当然であるが、似ていない二人である。フロルはパーティーの参加者に二人を紹介した。マルガレータがカリンのクラスメートであること。帝国からの亡命者であること。男性は彼女の叔父であること。ベンドリングは最初、恐縮していたようだったが、フロルの言葉に打ち解けたような表情をしていた。かつて情報部にいたとは思えない、善人である。バグダッシュとは偉い違いだった。
そして午後7時5分、集まったみんながシャンパングラスを持ち、カリンとマルガレータ、シャルロットとユリアンにシャンメリー、その他大人にシャンパンが注がれたあと、カリンの乾杯の声で、パーティーは始まった。
料理は思った通り、最高の出来だった。キャゼルヌ夫人が腕によりをかけて作っただけはあって、どれも美味しいの一言である。前から夫人の料理は家庭料理の極致に達しかけていたのだが、フロルという自分よりも上手の菓子職人の登場によって、より料理研究が進んだようだった。その味は既に市販のレベルを逸脱し、有名料理店並みになりつつある。料理が目当てでやって来たアッテンボローなどは、凄い勢いで食べていた。
女性陣に人気だったのは、もちろんカリンとフロルのクリスマスケーキだった。ただのホールケーキではなく、色々なケーキを面白く配置して、雪の振る森の中の小屋と愛犬エリィを
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