第6次イゼルローン攻略戦(4)
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インハルトには少し『落ち着き』というものがある。
どうやら、我々に喧嘩を売りに来たわけではないようだ、とロイエンタールとミッターマイヤーの二人は思った。
そこでラインハルトが二人に語ったのは、彼がミュッケンベルガー元帥に送付した上申書の中身であった。混迷した戦局を収拾させるために、一軍をもって突出させ、奴らの退路を遮断せんと見せかける、というものである。ロイエンタールとミッターマイヤーは事情も掴めないまま、ラインハルトの論理的で理に叶った作戦を聞いた。
「そこで、卿らの意見を聞きたい。私の作戦案について、どう思う」
「非難に値する点はないようですね」
ミッターマイヤーはそう言った。事実、ミッターマイヤーは話を聞くにつれ、ラインハルトの噂に違わぬ実力を感じていたものだから、半ば感嘆の声だった。
「非常に理に適っている、と小官は思います」
ロイエンタールも同じような感想を抱いたようである。
ラインハルトは二人の言葉に満足したように頷くと、爆弾のような言葉を二人に投げかけた。
「この作戦、卿らに協力を願いたい」
それは半ば命令であった。少将は准将よりも階級が上である。上であるからには、准将は少将の命令に逆らうことはできない。だが、形だけでも、ラインハルトはお願いと言った。それは、今までのラインハルトにはない性質のものだったろう。
「……協力、と申しますが、なぜ私とミッターマイヤーの艦隊を必要とされるか、お聞かせ願いたい」
ロイエンタールはその金銀妖瞳を鋭く尖らせ、ラインハルトを射抜いた。ロイエンタールは今まで無能な貴族の上官をいくらも持って来た。その度に尻拭いをさせられたり、割を食うのは普通だったが、今回は多少毛色が違う。だが、だからといってほいほい従うだけの従順さを、持ち合わせているわけではないのだ。言葉だけならば誰でも言える。ラインハルトはそのような者ではなさそうだが、真意を知りたい、と思うのはロイエンタールの正直なところだったろう。
ラインハルトはその視線を真っ正面から受ける。
「今回の作戦は、少数精鋭の高速運動によってのみ、可能となる。よって艦隊の数は少なく抑えておきたい。だが叛乱軍という大魚を釣るには、それなりの餌が必要だ。例えそれが擬餌だとしても、2000隻程度は必要だと考えたのだ」
「なるほど、先月叛乱軍に敗れたせいで半数の艦隊を失っていなければ、ご自身の艦隊でその作戦を行っていらっしゃったでしょうな」
「ロイエンタール!」
ミッターマイヤーはロイエンタールの言葉を止めた。だが、ラインハルトはそれに怒るどころか、軽く笑ってみせたのである。
「その通りだ、ロイエンタール准将。私は私の傲慢さによって、敗北しかけて、辛うじて生き延びた人間だ。だが
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