第6次イゼルローン攻略戦(1)
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ゥール》のハンマーの死角から、多頭ミサイルの群がイゼルローンの液体金属に突き刺さる。着弾の光がイゼルローンを装飾した。
イゼルローン要塞も、迎撃光子弾幕を斉射してそれに対応したが、対応しきれるわけはなかった。ホーランド少将率いるミサイル艦部隊の放った固体のミサイルと、気体化したミサイルとが、要塞の至近空間を埋めつくし、莫大なエネルギーの余波が、嵐となって要塞表面を走り抜けた。
イゼルローン要塞の巨体から見れば、微量でしかないミサイル艇の大群が、正面からの砲戦の間隙をくぐり抜け、要塞の一カ所に集中攻撃をかけたのである。ここまでは思い通りであった。ホーランドが言い放った華麗な作戦は、彼の思惑通り、蟻の一穴を巨体に穿つ功を奏するかに見えた。
だがその時、このミサイル艦部隊の艦列に、白熱した穴が穿たれた。連鎖する爆発光はミサイルごと艦艇を吹きとばし、部隊は瞬く間にその数を減らして行く。
ラインハルトの側面攻撃であった。防御力の弱いミサイル艇群を側背から苛烈な火力でもって攻撃し、これをいとも簡単に突破したのである。
「俺の艦隊は、たかだか1700隻。戦術レベルで考えれば、たかが1700隻だ。だが、この1700隻がイゼルローンを救ったのだ」
ラインハルトは旗艦の艦橋において、輝くような生気の満ちた笑みを浮かべ、ホーランド艦隊を蹂躙していた。
「閣下、もうすぐ敵艦隊を突破しますが?」
「計算では敵総司令部まで艦隊はなかったはずだが……」
ラインハルトは目の前のスクリーンに映し出された、三次元配置図を睨んでいた。そこには、本来いなかったはずの艦隊が待ち構えている。
「どうやら、我が艦隊の行動を予測していたようですね」
キルヒアイスは凍結された笑みを浮かべたラインハルトに言う。
ラインハルトも一瞬、拳を握りしめたが、すぐにそれを緩めた。我々は敵の作戦主力であったミサイル艦部隊を見事打ち破った。敵総司令部を急襲することは叶わなかったが、十分な戦果と言えるだろう。
「敵にも出来る奴がいるらしいな」
ラインハルトは、それが若い将校であることに気付いていた。恐らく、佐官程度であろう。もし提督であるならば、今回のような穴だらけの作戦に抗議するだけの発言力があるはずである。このように次善策を講じる程度しかできないのは、総司令部の作戦に口を出す権力がないということを意味している。だがそれでも、一つの艦隊をどうにか動かす程度の階級であり、そして何より、同盟自身が自分の作戦が思い通りに進行中と浮かれている最中《さなか》に、その綻びを予知できるだけの軍事的才能を有している。
「キルヒアイス……、もしかしたら、あの艦隊にいるのではないか?」
「ええ、そうかもしれません。我々を罠に陥れようとした敵将が」
ラインハルトは前方に
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