第6次イゼルローン攻略戦(1)
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はなかったろう。
「ビュコック提督、これが敵の現在の戦力配置です」
「ふむ、3万対2万、数の上ではこちらの勝利じゃが、敵には要塞があるでな」
「ええ、ですが敵の方が数が少ないので、防御網の隙を突く、というホーランド少将の作戦案にはある程度理解が出来るのですが、この敵をご覧下さい」
フロルが示したのは、敵2万隻の艦隊の右端に、予備戦力としておかれているであろう分艦隊であった。だが、その分艦隊は通常の3000隻構成ではなく、せいぜい1700隻と索敵レーダーは言っていた。
「うむ」
「ビュコック提督、1700隻、思い出しませんか?」
「これは……もしや先日の」
「私は、そう思っております」
フロルは断言した。もっとも、彼はそれがラインハルトの艦隊だと、知っていたのである。もっとも、彼は会戦の始めまで、ラインハルトがそこにいるかは疑問であった。彼はラインハルトの命こそ逃したが、彼を一度敗北させていたからである。だが、そこに小艦隊は現れた。そして1700隻という中途半端な艦隊構成は、あの恐るべき”小賢しい敵”に違いないのだ。あの時、打ち漏らした敵はおよそ半数。つまり、だいたい1500から1700あまりの敵が、あの時逃した艦数なのだから。
「ちと、厄介じゃな」
「はい、あの位置は不味いです。恐らく、こちらの戦術は既に読み切った上での配置かと」
「たった1700隻じゃが」
「残念ながら、我々の作戦を潰えさせるには1700隻でも十分でしょう」
ビュコックは小さく舌打ちをした。なるほど、ホーランド少将の示した3万の本隊を囮にして、3000隻のミサイル艦部隊でもって直接攻撃を加えるという作戦案は、なかなか壮大で敵の虚を突くものだった。だが著しく防御の弱いことで有名なミサイル艦部隊ならば、たった1700隻でも壊滅させられるのだ。こんなイゼルローンくんだりまで来て、たかが1700隻の小艦隊によって作戦を崩壊させるなど、馬鹿馬鹿しいの一言であった。
確かに、ミサイル艦による攻撃、これは有効であろう。だが、それによってイゼルローン要塞に損害が与えられたとしても、それだけではイゼルローンは落ちまい。所詮は傷をつける、という程度であって、それとイゼルローン奪取はなんの繋がりもないのだ。
「本来、イゼルローンは攻略する対象であります。ですが、5度にも渡る失敗のおかげで、イゼルローンに近づいたり、もしくは傷をつけるだけでも武勲とされてしまうのが今の同盟の現状です。ですが、これは戦略的になんの意味も持ちません。ましてミサイル艦部隊は敵の側背攻撃を受けるでしょう。さらに困ったことに、あの艦隊、あの1700隻はホーランド艦隊さえ突破すれば、そこから一隻の妨害もないまま総司令部を強襲できるのです」
ビュコックはフロルの言っている意味を
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