漫然たる戦端の訪れ
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けでグリンメルハウゼンは大将になったのだろう。そしてあの老人は赤毛の大尉ではなく、金髪の准将に、昇進の機会を与えた。
フロルは何より自分の周りにいる人間を守るために戦場に立っている。それは彼が軍人になると決めた時から変わらぬ決意だった。だが、彼は直接、邪魔な敵自体の排除を目的としたことはなかった。一つに、フロル自身が伸ばすことの出来る能力があった、という点があるだろう。彼は敵を追い落とすよりも先に、自分が力を付けるように動いて来たのだ。
だが、それも限界かもしれない。これからの戦争で、フロルは真っ当にどう頑張っても、ヤンと同じくらい、いやそれ以下の権力しか得られぬであろう。対してラインハルトは専制君主制度の特質により瞬く間に昇進して行く。両者の持ちうる力の差は開くばかりだ。今でさえ、フロルは大佐、ラインハルトは少将なのに。
ならば、敵を謀略によって倒す、ということも自分は学ぶべきなのかもしれない。意地汚くとも、敵の裏をかくようなものであっても、彼と彼が守りたい人たちを守るためには、ヤンが決して進まなかった道を、自分は進むべきなのかもしれない、と。
フロルは、そんな形さえ定まらぬ考えを巡らしながら、漆黒の宇宙に時折光る爆発の輝きに目を向けていた。
その三日後、第5艦隊は補給のために最前線より後退した。そして彼は、一人後方の旗艦にいる、ヤン・ウェンリー大佐に、会いに行ったのである。
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※訂正※
恩来→本来
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