第六十八話 放たれた凶獣
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だからな。やっぱり」
「姪か。いや」
しかしここでガルドはふと言うのだった。
「どうした?ガルド」
「いや、どうもな」
彼はイサムに応える形でさらに言葉を続ける。
「ミレーヌは。二人にあまりにも似ている」
「そりゃ姪だから当たり前だろ」
「いや、二人にだ」
ガルドが言うのはそこだった。
「ミリアの妹の子だ。それでミリアに似るのは当然だが」
「ああ」
「しかし。二人に似ているのはまず考えられないが」
「そういやそうだな」
言われてやっと気付くイサムだった。
「何か二人のいい部分だけを受け継いだみたいな操縦するんだよな」
「何故かな。あの運動神経といい」
ミレーヌの運動神経もかなりのものである。それもまた有名になっているのだ。
「どうにも。二人にあまりに似ている」
「そういやそうだな。けれどな」
イサムはここでさらに言う。
「普通にねえだろ。二人の娘さんっていうのはな」
「まあそれはな」
ガルドもそれはわかっていた。
「ない。完全にな」
「だろ?偶然っていうか他人の空似さ」
「そうだな。間違いなくな」
「そうだよ。それでだ」
イサムはここで話を変えてきた。
「次の戦いは何処になると思う?」
「さてな。ただ」
「ただ?」
ガルドの言葉に顔を向ける。
「相手がデュミナスにしろ修羅にしろ今度は向こうから仕掛けてくるかも知れないな」
「向こうからかよ」
「そうだ。奴等はかなり攻撃的だ」
ガルドはそれを正確に見抜いていたのだった。
「それを考えれば仕掛けて来ることは充分考えられる」
「そうなるか」
「アレクサンドリアでの戦いも考えられる」
ガルドはこうまで言った。
「特に修羅ならばな」
「へっ、だったらそれはそれで返り討ちってわけだ」
イサムはいつもの強気を見せてみせた。
「やってやるぜ、思う存分な」
「その通りだ」
イサムの今の言葉に頷いたのはコウタだった。
「フォルカの奴、今度こそ」
「お兄ちゃん、血気にはやるのはいいけれど」
ショウコはここで兄に言葉をかけてきた。
「何だよ」
「少しは落ち着いてね。あまり周りを見ないとそれで大変なことになるわよ」
「何だよ、そんなこと言っていたら勝てる話も勝てなくなるぜ」
彼にとってはそうなるのだった。やはり彼は短気だった。
「ここは一気によ」
「いや、その通りだな」
だがここでコウタに言ったのはテツヤだった。
「テツヤさん」
「ショウコの言う通りだ。少しは周りを見ることも大事だ」
「周りを見ることも」
「コウタ、御前は今あの修羅のことしか考えていないな」
「それが悪いのかよ」
「少なくともいいものじゃない」
こう言うのだった。
「そうした戦い方は何時か身を滅ぼす」
「俺を」
「その通りだ。だから止めて
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