戦の始末
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を出ましたか」
「フロルが、意識不明の重態だ」
「フロル先輩が?」
キャゼルヌは端的に言い放った。彼自身、さきほど届いた戦闘報告で知ったばかりなのである。
「いったい、どういう状況で?」
「ヴァンフリート4=2同盟基地での戦闘は知ってるな? 白兵戦が繰り広げられたらしいんだが、右胸部を銃撃されたそうだ」
ヤンは息を呑んだ。あの死んでも死ななそうに元気だったフロルが、死にかけているなど何かの冗談、というものだった。
「困ったことになったよ、ヤン」
キャゼルヌは頭を抱えた。何より彼の帰りを待ち望んでいるカリンに、このことを知らせる義務が彼にあったからである。彼は後悔していた。なぜ、自分はカリンをフロルに預けたのだろうと。もっとあとになってからやるべきではなかったのか、と。
そしてヤンもまた、フロル・リシャールという自分を多いに買ってくれている大恩ある先輩が、あの有能な男が亡くなった時を想像して、顔をしかめた。彼にはまだまだ自分を助けて欲しい、と思いがあったのである。恐らく、自分やラップよりもその軍事的才覚で昇進する男であると思っていたが、まさかこんなところで躓こうとは。
ヤンは軍帽を脱いで、頭をかいた。当たり前のことだが、彼にできることなど、それくらいのものだったのだ。
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