ヴァンフリート4=2の激戦 (後)
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ルは後ろの二人を守ろうと、決して譲ろうとはしなかった。
その時、キルヒアイスのやってきた方の廊下から、部隊の走りよって来る足音が聞こえ始めた。遠くからは声も聞こえる。あれはシェーンコップではない。
「デア・デッケン!」
フロルは叫んだが、声と一緒に口から溢れる血が、ヘルメットを汚した。
(ああ、駄目かもしれないな)
フロルはそれを見て思った。
「キルヒアイス、引くぞ!」
その一言で二人は違う方向に向かって走り去って行った。どうやら見逃してもらえたようだった。右手からは薔薇の騎士連隊のみんなが走り寄ってきた。
中隊が二つにわかれ、半分がラインハルトたちを追ったようだった。
「リシャール中佐、いや、間に合って……」
デア・デッケンの言葉は途中で途切れた。
フロルの足から力が抜ける。
膝をついた。
握りしめていたブラスターと戦斧が手から零れ落ちる。
膝立ちになって、フロルは自分の胸を触った。その右手に血がべったりとついていた。
赤い。
彼の後ろでイヴリンが叫ぶ。
デア・デッケンが救護班を呼ぶ声が聞こえる。
そんな喧噪の中。
フロルは地面に倒れ込んだ。
脳裏を、カリンの顔がよぎった。
「……カ……リン」
彼の意識は、急速に暗闇へと落ちて行った。
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