ヴァンフリート4=2の激戦 (後)
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粒子だ!」
その言葉でキルヒアイスは状況をすぐに理解し、その手をトマホークに持ち替えた。
フロルはセレブレッゼ中将とイヴリンを壁際に寄せ、右と左より歩み寄って来る敵を注視していた。状況は最悪だった。この二人を相手して、長く時間もたせるほどの力は、自分にはない。
だが、このまま負けるわけにもいかない!
彼はラインハルトに一気に駆け寄り、全力の戦斧を叩き付けた。ラインハルトは一瞬の隙を突かれながらも、それを正面から受ける。奇襲をかけたのが功を奏し、一瞬だけ動きが止まった。フロルはがら空きになった胴に蹴りを叩き込んだ。ラインハルトはダメージこそ食らわなかったが、数メートルを吹っ飛ぶ。
「もらった!」
というフロルの叫びと、
「ラインハルト様!」
というキルヒアイスの声、
「駄目ッ!」
というイヴリンの声が一瞬重なった。
フロルは背後に迫る寒気に慌てて後ろを振り向く。
キルヒアイスがすぐそこに迫っていた。
フロルは悟った。間に合わない。キルヒアイスの戦斧は既に大上段、振り下ろされるそれを避けるのも受けるのも間に合わない。
だが、その間にイヴリンが走り込んできた。
「やめろ!」
フロルの叫び声。
キルヒアイスは、ヘルメットの奥に何を見たのだろう。
彼の、その高く振り上げた戦斧が、突如止まった。
フロルはその隙を逃さない。
固まったままのイヴリンを押しのけ、隙だらけになったキルヒアイスに、必殺の一撃を叩き込む!
その刹那であった。
一本の光線が、闇を走った。
それはラインハルトの銃から出た光であった。
ラインハルトは、キルヒアイスが命を散らすというその瞬間に、すべての理性を捨てて、銃を抜いたのであった。
だが、爆発は起きない。
「……ブラフ……だと」
ラインハルトが呆然としたように呟いた。
フロルの放ったゼッフル粒子小型発生装置は既に空だったのだ。
つまりはただのはったり。
「う、そ……」
イヴリンが、声にならない声を上げた。
その光は、フロルの右胸を貫通していた。
だがフロルは耐えた。
右胸から脳に伝わる猛烈な痛みを無視し、左手で素早くブラスターを引き抜き、ラインハルトに向け、戦斧をキルヒアイスに向けたまま、ゆっくりと後ずさる。
ともすれば抜けそうな力を振り絞り、彼はキルヒアイスを睨みつける。
キルヒアイスもまた、その姿に恐怖を覚えていた。この男の瞳はまるで炎のようだ。その固い決意の炎は、今にも彼と彼の敬愛するラインハルト様を焼き尽くそうとしている。
ラインハルトもゆっくりと銃を向けたまま立ち上がる。
二人を相手にしながら、フロ
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