ヴァンフリート4=2の激戦 (中)
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った。
「いやはや、どうしてリシャール中佐は大したものだ」
シェーンコップは隣りにいるリンツに向かってそう笑ったという。
人を食った挨拶を奉ったフロルは、そのあと司令部で全体の指揮を司ることになった。各部隊との連絡網は完璧というところで、この司令部から正確に指揮できそうであった。
傍らには気密服を着て、緊張した様子でコンソールを捜査するイヴリン・ドールトン大尉の姿がある。イヴリンとフロルは、互いの目線を交わし、静かに頷き合った。
敵の攻撃が始まった。
フロルはそこでも冷静に指揮を執り続けた。そこは戦場の最前線ではなかったが、戦線の最前線であったであろう。彼は4回の帝国軍の突入を、その度ことに的確な兵力移動と集中砲火によって防いでいたのである。その作戦指揮は、彼の下で働くシェーンコップなどから見ても見事と言ったもので、シェーンコップ率いる薔薇の騎士連隊初め各地上戦部隊は、その持てる能力を存分に発揮していたと言えるよう。
その時、基地上空に現れた第5艦隊もまた、地上戦を確認したのであった。その姿を視認した帝国軍は、慌てて撤退命令を地上部隊に発したのだが、地上部隊の指揮官自身が戦斧を振るうという状況であったため、その命令は果たされていなかった。
そして5度目の突入で、同盟軍の防衛戦がとうとう突破された。一つに彼我の戦力差が圧倒的であったことに原因があるだろう。地形的にその大軍を生かし切れなかった帝国軍であったが、その間断なき戦力投入で同盟の摩耗を強いることに成功したのであった。
リューネブルク准将率いる突入部隊は、基地内の侵入に成功していた。彼らはハンド・キャノンによって司令塔の外壁を破壊し、そこから侵入したのである。
こと、ここに至って、フロルは戦線の縮小と再構築を決意した。彼は薔薇の騎士連隊の2個中隊、シェーンコップ中佐とデア・デッケン少尉率いる2個中隊を司令部に引き戻しつつ、戦線を他の地上戦部隊に再分配するという離れ業をやってのけたのであった。これは彼が以前より薔薇の騎士連隊との関わりを深め、意思の疎通を図っていたことが可能にしたことだった。フロルはその薔薇の騎士連隊2個中隊を司令塔内に侵入した敵の迎撃に回したのである。
更に彼自身が前線の立て直しのために、司令部を飛び出して行った。一つには、既に司令部で指揮する段階を過ぎていた、というのが理由に挙げられる。敵の突入部隊は司令塔に侵入しており、その結果逆に敵の砲撃および進行が緩和されていたのだ。この状況下では各陸戦部隊指揮官に判断を任せても、これ以上状況が悪化する余地がない、と見たのである。既に敵にも撤退命令が出ているだろう。リューネブルクが引けば、全部隊が
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