第六十三話 邪魔大王国の最期
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ラ、無事だったの!」
「フローラ!」
宙はフローラに駆け寄る。彼女は仰向けに倒れている。兜は壊れその長い髪がはっきりと姿を現わしていた。
「生きていたのかフローラ!」
「司馬宙・・・・・・」
「しっかりするんだ!」
フローラを助け起こして言う。
「傷は浅い!だから!」
「いえ、わかってるわ」
しかしフローラは言うのだった。微笑んで。
「私自身がね。もう」
「馬鹿な、君はもう」
「これでいいのよ」
微笑みながら言う。
「これで私は両親のところへ。平和な村の人達が待っているところへ帰れるわ」
「そんな・・・・・・」
「有り難う宙」
また告げる。
「有り難う、鋼鉄ジーグ」
こう言って微笑みながら息を引き取る。今フローラは死んだ。
「フローラ!」
叫ぶ。しかし返事はない。フローラの亡骸は光に包まれ。その中に消えるのだった。
「宙さん・・・・・・」
「笑っていた」
美和に対して答える。
「フローラは笑いながら死んだ。この鋼鉄ジーグの腕の中で」
「そうだったの」
「ああ。けれど」
「まだ戦いは」
「鋼鉄ジーグよ!」
竜魔帝王の声がする。彼は生きていたのだった。
「まだ戦いはこれからだ!」
「わかっていたぜ、貴様が生きていることはな!」
戦艦の艦首にいる帝王を見据えての言葉だ。
「ここで最後の戦いだ!」
「貴様を倒してな!」
「黙れ!」
その竜魔に対して言った。
「黙れ竜魔帝王!貴様にわかってたまるか!」
「何をだ!」
「人の心だ!」
ジーグは言った。
「人の心の素晴らしさ、貴様にわかってたまるか!」
「そうだ!」
鉄也が続いて言う。
「その心があるからこそ俺達は戦っている!」
「悪に屈することなく!」
大介も続く。
「僕達はこうして戦っているのだ!」
「その心がある限り俺達は負けねえ!」
そして甲児も。
「そして最後には手前等悪党を根こそぎ退治してやる!」
「やれるものならやってみるがいい!」
竜魔の身体を紫の邪悪なオーラが包んだ。
「この俺を倒せるのならな!」
「何だと!」
炎を吹き上げてきた。竜魔の魔力だった。
「うわっ!」
「何だこの炎は!」
その炎がロンド=ベルの者達を焼く。それも何人も。
「皆!」
「大丈夫だ、この程度!」
「それよりも宙!」
「ああ、わかっている」
彼等の心は。誰よりもわかっているのだった。
「俺は倒す!竜魔帝王、貴様をな!」
「何だ、この気迫は!」
鋼鉄ジーグから発せられる気迫に。竜魔は怯んでいた。
「俺が押されているのか!?」
「行くぞ!」
跳んだ。
「勝負だ!」
「くっ、ならば!」
ジーグが跳ぶとそれに合わせる形で竜魔も跳んだ。その手に剣を持って。
「この俺の手で貴様を!」
「うおおおおお
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