第六十三話 邪魔大王国の最期
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てくれる筈だ」
「私なら・・・・・・」
「だから」
さらに言う。
「フローラ」
一歩前に出た。
「俺達と手を組んで竜魔帝王の野望を葬ってくれ」
「・・・・・・・・・」
だがフローラはその言葉に答えない。宙もそれに気付いてさらに声をかける。
「どうしたんだ、フローラ」
「来るな」
静かに首を横に振って告げた。
「私のところに来るな」
「君が俺を拒むのは」
頑ななフローラの態度を見て述べる。
「この間の話、竜魔帝王が君の運命を変えたことに関係しているのか?」
「・・・・・・・・・」
この問いにも沈黙して答えない。だが宙はその彼女にさらに当問うのだった。
「教えてくれ、フローラ」
こう。
「竜魔帝王が君の運命を変えたことに関係しているのか?」
「それは」
「教えてくれ」
またフローラに問う。
「君と竜魔帝王との間には一体何が」
「竜魔帝王は救ってくれた」
「君をか」
「そうだ、私の命をな」
こう語るのだった。
「恩人なのだ」
「馬鹿な」
宙はすぐにそれを否定した。
「あの竜魔帝王が。まさか」
「だが事実だ」
フローラの言葉は変わらない。
「遥か古代のことだ」
「古代か」
「そう。私は山岳地方の村を治める村長の娘だった」
はじめてわかるフローラの過去だった。
「その時は平和に暮らしていた」
「そうだったのか」
「しかし」
だがここで話が変わった。
「ある日突然村は狼に襲われた」
「何だって!?」
「私はその時死んだ」
宙はこの時実はおかしなことに気付いていた。狼は人を襲わないということに。だから狼は犬になったのだ。これはよく忘れられることであるが。
「私はその時死んだ」
「そうだったのか」
「そして次に私が目を覚ましたのは」
「その時は」
「竜魔帝王の御前だった」
はじめて明かされる事実であった。
「そして帝王は私に言われた」
「何と?」
「愛の為に生命を落とした私を甦らせたのは」
フローラは語る。
「愛というものの無力さを教えるためだと」
「何っ!?」
「そして」
さらに言う。
「竜魔帝王は私に永遠の忠誠を誓わせた」
「君にか」
「そう。そして」
話は続く。遂に核心に。
「断れば私の生命の灯火を消すと」
「そんな馬鹿な話があるか!」
宙はそこまで聞いて思わず叫んだ。
「君は竜魔帝王に脅迫されているだけじゃないか!」
「そう思うのか」
「当然だ!」
こうまで言い切る。
「何故俺達は戦わなければならないんだ!」
「竜魔帝王は世界征服を望んでおられる」
それが答えだった。
「だから」
「世界征服に何の意味があるんだ!」
しかし宙はそれに反論する。真っ向から。
「君には温かい血が通ってるじゃないか」
「私に・・・・・
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