ヴァンフリート4=2の激戦 (前)
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いんだが、どうしても偵察がしたいらしくてね」
「昇進の機会を逃さず、准将にでもなりたいようで」
「ならば、二階級昇進して少将を狙うんですな」
リンツが言う。どうやら大佐は、部下に慕われるような人物ではないらしい。
「まったく、これで敵と鉢合わせして、敵の攻撃が早まったらどうするんだ。こっちはこれから基地防衛に関する作戦案を立てなきゃならんのに」
「フロル中佐にはご同情申し上げますな」
シェーンコップが人の悪い笑みで言う。
「ですが、どうして敵の艦隊はこんな衛星にやってきたんだ?」
ブルームハルトが首を傾げた。
「さて、雲の上に鎮座まします銀河帝国の貴族のお殿さま方が、何を考えていらっしゃるのやら、俺のような名ばかりの貴族には、到底わからんね」
シェーンコップはそのチリ紙より薄い尊敬で包んだ毒舌を放つ。
「まぁ敵の主戦力としてやってきた、ということはないだろう。艦隊戦は現在混迷状態だ。それを収集するために、一旦艦隊を引かせた、というとこだろうね」
フロルはそう自分の意見を表したが、彼は自身の発言が正しいことを知っていた。更にいうと、敵の艦隊は敵の司令官から忌避されている、という本来知り得ないことすら知っていたのである。もっとも、口にはしなかったが。
「貴官たちこそ、気を抜くなよ。今回の敵軍には、どうやら装甲擲弾兵総監、ミンチメーカー・オフレッサーが来ているらしいからな。敵の陸戦部隊は強いかもしれん」
フロルはそう言って士官クラブから立ち去った。
その後、フロル・リシャールが行ったのは、各陸戦部隊との指揮権の掌握、連絡網の充実、補給ラインの整備、防衛計画の立案などであった。それらは基地防衛に関するほぼすべて、というべきもので、彼はこの限られた時間の中で、出来る限りの準備を行ったのである。
この間に、ヴァーンシェッフェ大佐の偵察部隊が行方不明、シェーンコップ中佐らが増援に向かうも、10倍の規模の敵陸戦部隊と交戦。5台の装甲地上車を失い、連隊長も負傷するという大損害を受けたのである。それが3月29日のことであった。
更には31日に至って、重体であったヴァーンシェッフェ大佐が戦死して少将に昇進するという事態に発展した。フロルはこの予測できた事態にもすぐに対応した。彼はセレブレッゼ中将に掛け合い、薔薇の騎士連隊の指揮権を副連隊長であるワルター・フォン・シェーンコップ中佐に移譲させ、連隊長代理に任命させたのである。更に彼と、各防衛部隊を集め、綿密な作戦会議を、31日から連日行い各連隊指揮官たちに作戦の趣旨を徹底させたのだった。
「敵の指揮官は、薔薇の騎士連隊の偵察でわかったことだが、前の前の連隊長、ヘルマン・フォン・リューネブルクであ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ