ヴァンフリート4=2の激戦 (前)
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」
「出撃すれば必ずやられると思われるのは侵害ですな、中佐。我々は薔薇の騎士連隊、同盟最強の陸戦部隊です。見事、偵察任務を果たしてご覧にいれましょう」
フロルはこの人物の説得を諦めた。この男は今回の偵察を自分の昇進への好機、と見て何が何でも出撃するだろう。これが自分にとって最後のピクニックとなるとも知らずに。
連隊長室を出たフロルは、逆に連隊長室に入って行くシェーンコップと視線を交わした。彼はフロルの顔になんの感情を読み取ったか、フロルの肩を一つ、叩いてみせたのである。
フロルはそのまま士官クラブに向かった。そこにはいつも通り、残りの最強カルテットのうち三人がいたのである。
「フロル中佐、どうしたんですか、しけた顔して?」
ブルームハルトがそう声をかける。階級でも年齢でもフロルは上なのだが、この青年の活発な気性は不思議と人を和ませるところがあって、フロルはそれに文句を言ったことがないのであった。
「悪い知らせと、いい知らせがある」
「なんですか?」
リンツ中尉が描いていたキャンパスを脇において、身を乗り出す。モデルとなっていたデア・デッケン少尉も、耳を傾けたようだった。
「この衛星北半球に、敵一個艦隊が来襲した」
ブルームハルトが口笛を吹く。
「それは豪儀なこって」
「敵はどうやらこの基地に気付かないまま、仮設基地を建造していたらしい。で、衛星の探査を行ったら、なんと同じ星の南半球には同盟の基地があった、とまぁ笑い話だな、ここまでは」
「なるほど、すると敵に対して攻撃をしかけるのですか」
「それは無理だろうね」
フロルは軍帽を脱いで、頭をかきながら答える。
「敵は一個艦隊だ。それにこちらは後方基地なもんだから、戦力比は圧倒的に負けていると言っていいだろう。いいとこ守って、救援を待つしかないだろうね」
「では、救援は」
「俺が独断で、4時間前に高速通信および連絡艇で要請している」
「さすがリシャール中佐、仕事が早い」
「こういうのは決断が早い方がいいと思ってね。それに今回の会戦では私の元いた第5艦隊が参加している。上手い具合にそこにそれが届けば、ビュコック提督が来てくれるだろう。これがいいニュースだ」
「ビュコックというと、一兵卒から中将まで昇進した叩き上げの?」
デア・デッケンが尋ねる。
「ああ、そうだ。俺が知りうる限り、現同盟艦隊でもっとも頼りになる爺さんだ」
「で、悪いニュースは?」
ブルームハルトが続けて問う。フロルは口を開いたが、
「我らが連隊長殿が偵察任務を買って出た、ということだろうな」
その後ろからやってきたシェーンコップによってその答えは示された。
「そういうこと。こっちは兵力を温存して、可能な限り防衛作戦に全力を向けた
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