ヴァンフリート4=2の激戦 (前)
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い起こしたからである。
「すると、貴官はどうすればいいと思う」
「恐らく敵も、ある程度の探査を行い、我が基地の存在に気付いた頃でしょう。恐らく偵察部隊を派遣して、こちらの情報を探って来ると思われます」
「ではこちらからも、斥候を出すかね」
フロルは内心で彼の動揺を冷静に見抜いていた。やはりこの男は、こんな前線に出て来るべき人材ではないのだ。もっと後方で、前線のお膳立てのために動く方が似合っている。
「いえ、この場合、いらない偵察を出して、こちらの被害が増えるのは望ましくありません。もしも偵察を出すならば、こちらの全陸上部隊を出して、敵の偵察部隊を殲滅する、くらいやった方がいいでしょう」
「だが、そんなことをすれば、基地防衛に割く戦力が??」
「ですから出すならば、と申し上げています。敵の戦力は軽く見てもこちらの5倍はあるでしょう。あちらは一個艦隊。ならばできるだけ効果的な防衛計画を作り、味方艦隊に救援までの時間を稼ぎ、その増援でもって敵艦隊を上空から殲滅する、それがもっとも優れた策、というより唯一の策だと思います」
「わかった、ではすぐに味方に増援を要請してくれ」
「わかりました」
フロルはそこでうやうやしく頭を下げていたが、実のところ、彼はこの時点で味方艦隊に独断で増援を要請している。数少ない連絡艇を数回に渡って出撃させていた。通信ではそれが届くまでの時間がかかりすぎる。恐らく原作よりも早い段階で、第5艦隊にフロル・リシャールとシンクレア・セレブレッゼの連名による増援要望書が届いているに違いなかった。
司令官室を出たフロルはその足で、ここ数ヶ月でかなり慣れ親しんだ薔薇の騎士連隊の低層ビルに出向いた。彼らはこの基地を防衛する一戦力に過ぎなかったが、その陸戦における強さは、彼も身に染みて実感するところだったからである。
彼はまず、ヴァーンシャッフェ大佐のところを訪れた。
「大佐、帝国軍一個艦隊が、この衛星に攻めてきました」
「なるほど、やはり事実だったか」
「はい、敵はどうやら我が基地の存在に気付かないまま、北半球に仮設基地を建造した模様です。そこで大佐にはこの基地の防衛作戦の一翼を担って頂くことになるかと思います」
「だが中佐、この場合偵察による敵の勢力把握が必要ではないのかね」
「その件についてはセレブレッゼ中将も提案なさりましたが??」
ここまで言って、フロルは自身の失敗に気付いた。ヴァーンシェッフェ大佐は上昇意欲の強い人間である。機あればそれに応え、功を立てようとする人物なのである。フロルはその瞬間、大佐の顔に走った表情を見逃さなかった。果たして大佐は、口を挟んだのである。
「ならば、我が連隊の装甲地上車で偵察任務をさせていただこう」
「ですが、貴重な戦力を??
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