薔薇の騎士連隊
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
・フォン・シェーンコップ中佐、お呼びにつき参上致しました」
その美男子の副連隊長はフロルと大佐の前でそう言って頭を垂れた。もっとも、シェーンコップは見慣れぬ異分子であるフロルに、抜かりなく目線を向けていたのだが。
「シェーンコップ中佐。彼がこの度、基地副司令代理に就任した、フロル・リシャール中佐だ」
「ほぅ、中佐殿があの堅物大佐であらせられた前副司令の代わりですか」
「そうだ。まぁそれはいいにして、彼が実は我が連隊の戦闘訓練に参加したいと申し出ていてね」
「それはまた物好きですなぁ」
シェーンコップは目の前に本人がいるにもかかわらず、ぬけぬけと言う。この毒舌家、皮肉屋はいかにもシェーンコップだ、とフロルなどは小さく笑っていたが。
「そこでシェーンコップ副連隊長、君にこのリシャール中佐を任せる」
この時、シェーンコップなどは面倒事を俺に任せたのだな、と察してはいたが、されとてそれを無視するわけにもいかず、承諾の敬礼をしたのである。
フロルとシェーンコップが連隊長室を出ると、シェーンコップはすぐに声をかけてきた。
「それで、リシャール中佐殿はいったい何がお望みなのかな?」
「シェーンコップ中佐、俺に裏があると思ってるのかい?」
「そりゃあ思うでしょうよ。話に聞くところによると、あんたは士官学校出で艦隊任務で出世を重ねたエリートさんだ。それがいきなり我らが薔薇の騎士連隊と仲良くしよう、と言っても、はいそうですか、と受け取る奴はいないって話さ」
「まぁそう言われると、返す言葉もないんだがね」
フロルは苦笑した。まぁ一般的に見て、彼のようなエリートが白兵戦をすること自体が稀少なのである。普通に艦隊任務を務めるならば、生き残るか、船とともに消えるかのどちらであり、むしろ血を浴びる白兵戦を経験する兵士の方が少ないだろう。だが、フロルは今後、この基地が戦場になることを知っていた。だからこそ、士官学校時代に身につけていた白兵戦の技術を、もう一度研ぎ直したいと考えていたのである。
「俺は体を動かすことが好きなんだ、シェーンコップ中佐。なのに最近は艦隊勤務ばかりで体が鈍っちまってね。だからそれをどうにかしたいのさ」
「中佐殿、我々の訓練をジョギングか何かと勘違いしてもらっちゃあ困りますな。これでも我々は白兵戦で生き残ってきたんだ。そんな軽いもんじゃありませんぜ」
シェーンコップはその端正な顔から、鋭い視線をリシェールに向けた。彼自身、このフロルという男がいったいどういう男なのか、掴みかねていたのだ。ならば、このまま言う通りにしごいてやって、その反応を見てからでも遅くはないかもしれぬ。
「こう見えても、士官学校時代、白兵戦の試合で負けたことは一度もないんだ。同盟最強、の腕前を見せてもらいたいもんだね」
フロ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ