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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 前編
会議が招いた再会
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第一層ボス編”が配布されたのだ。当然のことながら全員がそれをNPCショップで受け取り、熟読し――、
 最後のページに書かれていた赤いフォントの一文に、目を奪われた。
 曰く、【情報はSAOベータテスト時のものです。現行版では変更されている可能性があります】。今まで彼女が貫いてきた、“何処の誰とも知れない元βテスターから情報を買っているただの情報屋”というスタンスを揺るがしかねないものだった。
 全員がこの情報をどう扱うか決めかね、決定を託すようにディアベルに視線を向ける。視線の先の人物は数十秒ほど思案げな表情を浮かべていたが、やがて腹を決めたように声を張り上げた。

「――みんな、今はこの情報に感謝しよう! 出所はともかく、この情報のおかげで、二、三日はかかるはずだった偵察戦を省略できるんだ。正直、すっげー有り難いってオレは思ってる。だって、一番死人の出る可能性があるのが偵察戦だったからさ」

 その発言に周囲の集団がざわざわと揺れるが、すぐにその決定を呑み込み、うんうんと頷く。マサキはキバオウ辺りが噛み付くのではと思ったが、それもない。

「絶対に死人ゼロにする。それは、オレが騎士の誇りに賭けて約束しよう!」

 聴衆から「よっ、ナイト様!」との声が届き、次いで集まった全員が彼に対してスタンディングオベーションを送る。どうやらあの騎士様は、リーダーシップはそれなりに備えているようだ。
 マサキは素直に感心し、口元を、口笛を吹くように尖らせた。


「さて、と」

 ディアベルが各自でパーティーを作るように指示を出してから数十秒後、マサキはゆっくりと腰を上げ、周囲を見渡した。すると、今までは一箇所に集まっていた集団が、六人ずつ、七グループに分かれている。恐らくまだ正式に決定はしていないだろうが、このままでは十中八九このグループがパーティーになるだろう。

「マサキ、どうする……?」
「人数的に後二人、あぶれた奴がいるはずだ。まずはそいつらに話しかける」

 不安そうにこちらを見てくるトウマに対し、マサキは広場全体を見回しながら答える。と、二人の右斜め下に、二人のプレイヤーが座っているのが見えた。マサキはトウマに「行くぞ」と短く声をかけてからそちらに歩み寄り、爽やかなビジネススマイルを浮かべながら話しかけた。

「すみません、実は僕たち、誰ともパーティーを組めていないんです。もしよろしければ、僕達と組んでいただけませんか?」
「ああ、ちょうど良かった。こちらからも是非……」

 線の細い中性的な顔がくるりと回転し、二つの瞳がマサキの姿を捉えた瞬間――、表情が一気に凍りついた。

「ま、マサキ……?」
「何だ、キリトだったのか」

 驚いたように目を丸くするマサキに対して、キリトはなぜか目を伏せた。
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