別れと再会
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ころがあってだね……、どうにも奴らわ私の手に負えんのだ。そこで、なんだが、中佐、これを言うのは非常に??」
「わかりました、中将。私がなんとかします」
フロルはシンクレッゼの言葉を遮って言う。それに彼は安心したらしく、安堵の溜め息をついた。
「助かる。では、中佐。今後ともよろしく頼む」
「はっ」
そうしてフロルは司令官室を出たのであった。
だが司令官室を出たフロルは、懐かしい顔との再会を果たす。
シンクレア・セレブレッゼ中将の副官、イヴリン・ドールトン大尉との再会である。
「イヴリン?」
「フロル、フロル・リシャール! 久しぶりね」
彼女は表面上、笑顔でそう挨拶して来たが、フロルはその仮面の下にある怒りを敏感に読み取った。イヴリンは、怒っている。だが、何故?
「や、やぁ、久しぶりだね。シロン星以来だから……ええっと」
「三年と四か月ぶりよ、フロル」
彼女はやはり怒っている。
「そ、そうだな。いやぁ、久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「ええ、そりゃあもう。元気一杯で力が余ってるわよ」
「あ、あははははは」
彼は必死に視線を外しつつ、笑うことしかできない。
「ねぇフロル、今夜は空いてるかしら?」
イヴリンがどこか険のある表情で言う。イヴリンの顔を見たフロルは後悔した。
「いや、今夜は俺、到着したばかりだから事務仕事が溜まっててさ」
「ねぇ、フロル、今夜は空いてるかしら?」
イヴリンがまったく同じ台詞を、まるで噛み締めるように言う。
「あ、空いてます」
彼は抵抗を諦めた。無駄だとわかったのである。
「そう」彼女はそこで晴れ晴れとした笑顔を見せる。「じゃあ私の部屋に来て、旧交を暖めましょうよ」
「え、いや」
「旧交を暖めましょうよ」
「……はい」
「じゃあ、待ってるからね」
そう言って、イヴリンはセレブレッゼ中将の部屋に入って行った。フロルは一人、廊下で頭を抱えた。そうだ、セレブレッゼの副官だったのだから、ここにいるに決まっているじゃないか。どうして会うまで忘れていたんだろう。いや、それを彼女に言ってはいけない。言ったら、余計怒られそうな気がする。
(だが、なんでだ)
フロルは自問自答する。
(俺とイヴリンはただの友人だったはずだ。いや、多少仲は良かったが。だが、いや、そんな、うーん)
そして彼はあることを思い出し、顔を真っ青にした。
彼は3年前、ハイネセンに戻る時、なぜかイヴリンにだけ別れの挨拶を言っていなかったのだ。なぜしなかったんだろう。だが、フロルは彼女が怒っている理由がそれだろう、と思っていた。
だが、もしここにキャゼルヌ当たりがいたならば一言、
「鈍感」
と罵倒しただろう。
フロルは肩を落としつつ、一人、薔薇の騎士連隊の訓練所に、足を向
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