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【旧】銀英伝 異伝、フロル・リシャール
外伝 新しい家
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だった。聞いてみると、なんとそのケーキは全部フロルさんのお手製だったという。
「カーテローゼちゃんが来るからね、お出迎えの心を込めて作ったんだよ。でも、美味しそうに食べてくれてよかった。ありがとう」
と笑っていた。こんなに美味しいのに! たぶんお店で売れるくらい美味しかったと思う。
 それでその笑顔を見た私は、この人を信じてみようと思った。お菓子が美味しいから、とかそんな理由じゃないんだけど、いや、もしかしたら少しはあるかもしれないけど、あんなに美味しいお菓子を私だけのために作ってくれる人が、悪い人とは思えないから。
 それから私とフロルさんは自分の自己紹介とか私のお母さまとか、フロルさんの両親の話をずっとしていた。フロルさんは、今度私をフロルさんの両親に会わせてくれると言う。
「いい人たちだから、安心しなさい」
と言ってるから、たぶん大丈夫だと思う。
 一つ気になったのが、フラウ・ビュコックのお家で食べたアールグレイのケーキが今日もあったこと。聞いてみたら、フラウにその作り方を教えたのはフロルさんだという。
 フロルさんは私に自分の部屋を一つくれた。今日からここが、私の部屋。初めて持った自分の部屋。
 夕食はキャゼルヌ大佐のお家に伺って、いただいた。キャゼルヌ大佐とフロルさんは本当に仲がいい。ずっとチェスをしたりお酒を飲んだり、笑っていた。キャゼルヌ大佐の奥さんが料理を作って下さったんだけど、とても美味しかった。シャルロット、というまだ一歳の女の子もとても可愛い。まだ喋れないみたいだけど、桃みたいにほっぺたが柔らかかった。奥さんもとても良い人だった。彼女曰く「もしフロルくんがなんか悪さしたら、すぐに私に言いなさい。私が懲らしめてあげるから!」と言っていた。とても頼りになる人だと思う。
 それからフロルさんと私は家に帰って、これから寝るところ。初めての部屋で寝るけど、昨日までの不安は凄く小さくなっていた。どうか、これからの生活が幸せなものでありますように。そして、フロルさんと仲良く暮らせますように。
 お母さま、私を見守って下さい。


























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