外伝 新しい家
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表すなら、びっくり、の一言だと思う。これから詳しく書くけど。
今日、私はフラウに起こされて目を覚ました。いつもは一人で起きれるんだけど、今日に限って私は寝坊しちゃったみたい。おかげで朝ご飯と食べ損ねた。フラウは笑っていたけど、私は人よりしっかりご飯を食べるのでお腹が空くのは困る。
眠たかったけど、迎えに来た役人さんの車に荷物を載せて、私はフロル・リシャール中佐の家に向かった。今さらだけど、26歳で中佐って実は凄いことなのかもしれない。どうやら士官学校を出たエリート、ということだけど。
私は震える右手を励まして、中佐の家のベルを押した。思いのほか大きな音が鳴って、私は飛び上がりそうだった。家の中から声が聞こえて、私は緊張してドアの前で立っていた。
そしてドアが開く。フロル中佐、いやこれからはフロルさんと書くけど、第一印象は優しいお兄さん。顔もなかなか整っていて、変な人ではなさそうでよかった。背も見上げるほど高くて、驚いてしまった。フロルさんはジーンズに白いワイシャツを着て、なぜかエプロンをしていた。その時、私が気付いたのは、凄く美味しそうで甘そうな匂い。キッチンと思うところから凄く香っていたの!
荷物はフロルさんが運んでくれた。よっこらへっちら持って来たはずなのに、軽々と運ぶのは男の人だからだと思う。
そしてリビングに行くと、凄い量のケーキ!
ショートケーキ、チョコレートケーキ、マフィン、シフォンケーキ、シュークリーム、ミルフィーユ、他にもたくさんのケーキがリビングのテーブルの上一杯に並んでいた。驚いてフロルさんを見ると、彼はまるで悪戯をした子供みたいに舌を出して、それから笑っていた。私はお腹がぺこぺこだったから、凄く食べたくなってしまって、慌ててその椅子に座った。本当はもうそろそろお昼ご飯の時間だったんだけど、それよりも目の前の凄いお菓子の山に夢中だった。
すぐに食べようとする私に、フロルさんは待ったをかけた。そしてテーブルの反対側に座って「一緒にいただきますを言おう。自己紹介は、食べてからにしようか」と言って、一緒にいただきますを言って、ケーキを食べ始めた。そのケーキの美味しいこと! 今まで食べて来たケーキのどれよりも美味しくて(お腹が空いていたせいもあると思うけど、だけどそれでも)、私は夢中になって食べた。ケーキは普通よりもちょっと小さめで、どうやら私とフロルさんが食べられる量を用意したんだと思う。甘いのに甘過ぎなくて、全然胸焼けしないで一気に食べてしまった。フロルさんは紅茶を入れてくれて(これも凄く美味しかった)、私が凄い勢いで食べるのをニコニコしながら見ていた。
食べ終わって落ち着いた私は恥ずかしくなってしまった。こんなにがっついたら、礼儀知らずだと思われたかもしれないと思って。だけどフロルさんはむしろ嬉しそう
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