アルレスハイム星域会戦
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思ったのはそれだったのか」
技術班の士官が言う。
「ええ、艦隊編成の際にお願いしたのですが」
フロルは手元の端末を操作し、画面に資料を表示させる。フロルが艦隊編成の担当だったのである。もっとも多め、という程度で、逸脱して多いというほどではない。
「今回、我々は計1000個のゼッフル粒子発生装置を持って来ました。これを艦隊後部に持って来て、小惑星群を突き抜けたところで展開します。敵軍はイゼルローンに帰還するにしても、我々の軍を攻略するにしても、我々のもとに来ざるを得ないでしょう。敵が現れるポイントがわかっているならば、ゼッフル粒子も役に立ちます。敵が来たところで小惑星群に展開したそれを着火すれば良い」
「艦隊後部に工作船があると、追撃にあった時、かなりの被害に合うのではないか」
「我々はまず全力で小惑星群を突破します。敵が想定し、配備する追撃部隊が追いつくことはないでしょう」
その時、会議室に通信兵が走り込んで来た。
「て、敵兵力が想定より多いとの情報が、フェザーンよりハイネセンに入電。ハイネセンは不利ならば撤退せよ、とのことですが」
「提督、どうやらやはり敵の情報操作だったようですね」
「……リシャール少佐が面白いことを言うと思っておったが、どうやら当たりだったようじゃな。ならばこちらは罠にかかったと見せかけてやった方が、相手の隙も突けよう。攻撃を続行する。我が軍はこれより小惑星群に突入、敵の奇襲部隊を突破し、イゼルローン回廊側の宙域まで前進。そこで戦陣を構築し、敵部隊を迎え撃つ。工作船部隊の件はその通りでいい。くれぐれも無駄に消耗せぬように」
そこで作戦会議は終了した。
戦いにおいて、当初立てた作戦がそのまま上手く行くことは稀である、という戦訓を敵軍はこの戦いを通じて学んだことだろう。
銀河標準時1130時、同盟第5艦隊はアルレスハイム星域に侵入した。同盟艦隊は可能な限りの速度を持って前進。同1200時、敵部隊が同盟軍後方に出現。だが同盟軍の高速移動により、その距離は有効射程をはるかに超えていた。同1230時、敵奇襲部隊と思われる部隊に遭遇。敵は明らかに統制の効かない乱発的な攻撃を仕掛けてくる。第5艦隊はスパルタニアンを出しつつ、これを殲滅。敵軍は明らかにその秩序を失っていた。敵奇襲部隊の50%を撃沈、もしくは大破。同1330時、同盟軍は小惑星群を抜け出し、その外にて戦線を構築。フロル・リシャール少佐の作戦案のもと、1000個のゼッフル粒子発射装置によってゼッフル粒子を散布。1400時、敵追跡部隊が現れたとともにこれを着火。敵の戦列を崩すことに成功する。1430時より残存兵力を掃討。1600時までに敵軍は組織的抵抗を失う。
結果的に、敵の奇襲部隊の自滅という形にも助けられ、アルレスハイム星域
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