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【旧】銀英伝 異伝、フロル・リシャール
790年の昇進
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しい手料理を頂き??フロルは結婚前のオルタンス嬢に会った時にシチューを食べた事があったのだが??舌鼓を打ったあと、フロルのケーキ(この二年弱の紅茶に合うケーキ集大成)が皆の好評を博したのは言うまでもない。

 食後はフロル、キャゼルヌ、ラップでフロルが持って来たシロンの紅茶を飲みながらソファに座る。
「やはりシロン星は違うな」
 キャゼルヌが偉そうに言う。
「ええ、私ももし飲むならシロンの紅茶と決めてますからね」
「でも残念ですね、ヤンの奴がいたら、泣いて喜ぶだろうに」
「ヤンの分はトランク一杯分持って来たよ。あいつがハイネセンに戻って来たら上げるつもりさ。それに、今回の勤務であっちに顔見知りもできたからな、安く茶葉を受け取るツテができたわけだ。またいつでも手に入るさ」
「それは耳よりの話を聞いたな。うちの紅茶が欲しくなったら、フロルに頼めば良いのか」
「キャゼルヌ夫人の頼みならご用意いたしましが、キャゼルヌ先輩の依頼では承諾しかねますね」
「なんだ、あいつは俺の妻だぞ」
「あなたがオルタンス嬢の夫でしょう。私はどちらが偉いかこれでも察しているつもりですよ」
 ラップはここでこらえられないように小さく噴き出した。
「お子さんは今何か月ですか?」
「もう6か月になる。女の子だそうだ」
「オルタンス嬢の娘さんならきっと可愛い女の子でしょうね。キャゼルヌ先輩の子なのが気がかりですが」
 フロルはさらっと毒を吐く。

「そういえばフロルはあのお嬢さんとどうにかなってないのか?」
 キャゼルヌはにやにやとした笑みを浮かべながら言う。仕返しのつもりか?
「別になってませんよ。アレはただのたかり屋です」
「フロル先輩、いい仲の女性でもいるんですか?」
 ラップは少し驚いたように言う。確かにフロルが女とそういう関係になった事は一度もないので、一時期には男色なのではないかという不名誉な噂まで立ったのだが、それは言い過ぎという話だった。
「キャゼルヌ先輩の得意な誇張さ」

「次の配属は第5艦隊だそうだな」
「ええ、ビュコック爺さんのとこです」
「まぁ悪い人じゃないからな。多少口の悪いところがあるが、基本気のいい爺さんだ」
「確か、一兵卒から少将になった人ですよね」
「偉い顔した士官学校出のエリートは嫌い、という話だが、まぁフロルなら大丈夫だろう」
「先輩はよくも悪くもエリートっぽくはないですからね」
 二人とも、失礼な奴である。
「しばらくはここで勤務することになりそうですよ」
「まぁ飯に困ったらいつでも来い。美味しい料理を食わせてやる」
「作るのはあなたではなく、あなたの配偶者でしょうに」
 フロルは小さく溜め息をついた。

 そのあとも、三人で賑やかに語り合ってから、時期を見計らってラップとフロルは退
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