新たなる任地へ
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んだから、それを人に言っては」
「……まぁしょうがないわね。でも会いに行かせてよ」
「いや、だから??」
「いいから!」
「……はい」
いつの間に、私はこんなに女性に弱くなったのだろう。ジェシカ・エドワーズには強気に出れたのだが、もしかしたらイヴリン・ドールトンが年上だからだろうか……。少なくともこれはいい傾向ではない。いつか私が主導権を取り返さねばならないだろう。だが、いったいどうやって? さすがにこの事ばかりはフロルの頭脳をもってしても、まったくいい案が浮かばぬのであった。
「おまえは俺の部屋によく来るが、そんなに俺の部屋が好きなのか、それとも俺が好きなのか」
キャゼルヌは部屋に入って敬礼した俺に向かってそう言った。フロルとしても最近、頻繁に訪れすぎている気はしているのだ。だが厄介事が起きれば、まずこの頼れる先輩の元にやって来るしかないのだから、それは俺ではなく厄介事に向かって行って欲しいものだ、というところだった。
「後者だったらどうします」
フロルがふざけて言う。
「気味が悪いからおまえの出入りを禁止させてもらうさ」
「ならば俺のところに厄介事が来るのを禁止してもらいたいですね。俺がここに来るのは俺の自由意思によってではなく、必要に迫られて来ているだけなのですから」
「それで」キャゼルヌはフロルの後ろに立っているイヴリンに目をやった。「そのお嬢さんはどなたかな?」
「イヴリン・ドールトン中尉です」
彼女はさっきまでの態度が嘘だったかのように猫を被って、軽やかな敬礼をした。
「ほぅ、君がフロルに痴漢されたと言う??」
「キャゼルヌ先輩、あれは誤解だったと、被害届は取り下げられましたよ」
「はい、そのイヴリン・ドールトンです」
「ドールトン中尉!」
「そういえば君の名前は、士官学校時代に聞いた覚えがある。私の後輩だったと思うが、違ったかね?」
「いえ、キャゼルヌ先輩の3つ下でした。中佐の評判は当時より聞き及んでおりました」
「そう面と向かって言われると照れるがね、まぁ二人とも座ってくれ」
私とフロルは備え付けのソファに座った。キャゼルヌはその正面に座る。
「赴任先が決まったそうだな。シロン星域だってな。セレブレッゼ中将がいるはずだが」
「その話を伺いに来たのです」
「セレブレッゼ中将は押しの弱い人でな、まぁ何かと強い者には巻かれろを地で行っている人だが、基本悪い人ではないだろう」
フロルはひとまずそれを聞いて安心した。これでまた面倒に巻き込まれるのは勘弁願いたいところなのである。
「タナトス管区内だからな。ヤンの次の任地先は知ってるか」
「ええ、鄙びた捕虜収容所の参事官ですよね」
「え、あんた、あのヤン・ウェンリーとも知り合いなの!?」
「イヴリン、少しその口を
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