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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
19.初陣V
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いのか!』
『ち、違います!跳躍ユニットが稼働しないんです!』
 これまでの試験、システムチェック、直前の点検に引っかからなかった欠陥がキメラ4の命を奪う。キメラ4の不知火はレーザーの直撃は回避したものの跳躍ユニットが大破し墜落してしまった。
 そして着地したところに群がる戦車級の大群が瞬く間に不知火を解体し食らって行く。
『緊急離脱だ!はやく機体から脱出しろ!』
『無理です!外にはBETAが!』
『そのまま死にたいのか!良いから早くしろ!拾ってやる!』
 しかしキメラ4は恐怖心から脱出できない。墜落した衝撃で歪んだ機体では纏わりつく戦車級をひきはがすことができず、次第に言葉を失ってただ悲鳴を叫ぶようになった。こうなってしまっては助かる見込みはない。加えて部隊は後退している途中。救出に向かっても被害を拡大させるだけである。
『くそ!キメラ4をKIAと認定!』
「隊長!俺が行きます!」
 しかし巧は諦めたくなかった。



巧side

 この戦闘が開始されてからどれだけの時間が経ったのか。十数分程度で友軍の体制が整うと言っていたからまだその程度も経っていないのか。数時間は戦っているような気がする。でも調子は悪くなかった。死の八分を乗り越えたときは緊張で現実感がなかったが、今はそうでもない。
 俺の今回の役割は遊撃部隊として自由に動いて隊を支援することだった。そしてそれは上手くいっていた。夕雲は良い機体だ。撃震ではできなかったことを容易くこなすことができる。
 俺はこれまで培ってきた力をすべて使って援護した。突撃級の動きを止め、要撃級の首を刈り、浸透したBETAの位置を教え、注意を促し…。自分でも良くやれたと思う。
 だがそれでも二人死んだ。一人は突撃級かわした時に撃ち落とされ、もう一人は重光線級に跡形もなく。そして今さらに…。
 戦場で犠牲が出るのは当たり前だ。だが『もしこうしていたら』という後悔が拭えない。なら最後まで足掻く!確かに状況は絶望的だが、強化装備から発せられるバイタルデータは健在だ。まだ生きているんだ!KIAには早すぎる!
「隊長、俺が行きます!」
『なっ!?ふざけるなキメラ5!上官命令だぞ!』
「こういうときのために俺に単独行動させたんでしょう!?」
『待て!もう間に合わん!』
「やってみなければ分らない!行きます!」
 隊長の制止を振り払って飛び出す。後で懲罰食らうかもしれないが見殺しよりはましだ。
 夕雲の発揮できる全速で匍匐飛行する。BETAが腐るほどいるがそんなのは無視だ!最低限の敵だけ殺して進む。右腕が中破して上手く動かないためにバランスが乱れているがそんなことは関係ない。右腕が使えなくても突撃砲三門、長刀一本あれば殺すだけなら十分だ!
「どけぇっ!化け物共!」
 立ちふさ
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