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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
19.初陣V
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験の浅い衛士が多く足が止まっている。訓練で出来ても実戦の恐怖感からいつも通り動けない。いつもは見えている周りが見えない。後衛組は目の前の突撃級しか見えていなかった。
巧はその援護をするために突撃級の足を打ち抜き、要撃級の顔面(に見える尾部)を吹き飛ばす。そして自身に近づいたBETAを複腕に装備した長刀で切り裂いた。しかし小型種の浸透は止め切れない。
打ち漏らした戦車級が徐々に後衛組との距離を詰めてくる。後衛組の脳裏に先ほど見た無残に食いちぎられた友軍の戦術機の映像がよぎる。まず突撃級を優先して撃破しなくてはならないが、その後ろに群がる赤い大軍を見ると恐怖心が指先を凍らせる。後衛の初陣組はもはや戦える精神状態ではなかった。
「キメラ11、10時方向要撃級!キメラ8、正面の突撃級からだ!」
巧は撃ち漏らした大型種の位置情報を伝える。その間にも縦横無尽に動き回り大型種をかり、小型種を轢き殺す。しかし限界は近づいていた。BETAの隊列は先頭によって縮まり、すでに囲まれつつある。そして後方の光線級を始めとした強力なBETAも合流するだろう。そうなれば辛うじてつないでいる線も切れてしまう。
『キメラ1よりキメラズ全機!突撃級は刈りつくした。一度後退して立て直すぞ!』
救いの声。周防の合図によって部隊は後退する。上手くいけば友軍の援護も受けられるかもしれない。しかしBETAとの戦いにおいて人間の思惑は幾度も裏切られる。
後退を開始する直前レーダーに映る赤いマーカー群が道を作るかのように割れた。
巧の目の前が開ける。網膜投影された画像に赤いレーザー警報が映った。
「やばい!レーザー来るぞ!」
巧は夕雲の機体がねじ切れるほど急激に旋回させる。数瞬後目がくらむほどの光が眼前を過った。急激に熱せられた大気が弾け爆風を起こし、巧の夕雲は吹き飛ばされる。自動でシステムチェックが起動し右腕が中破したことを伝える。直撃したわけではないが熱波と爆風などの副次効果によってやられたようだ。
そして気づけば友軍のマーカーが一つ消えていた。巧はギリギリで回避できたものの後方にいた夕雲は直撃していた。巧は後方で上半身が消しとんだ夕雲を確認した。
「くっ…!キメラ6大破!キメラ5右腕中破!隊長!」
『全機後退だ!重光線級の存在を確認した。重金属雲濃度も足りない!射線に注意しつつ匍匐飛行で全速後退だ!レーダー上のBETA群の動きに注意しろ!』
キメラズ全機が後退を開始する。足の速い突撃級は刈りつくしたためにしばらくは追い付かれる心配はない。要撃級などを盾にしてレーザーをかわしながら、死に物狂いで離脱するキメラズ。
しかし前衛組の不知火が普通に噴射跳躍してしまう。重光線級も光線級もいる今、それは自殺行為だった。
『キメラ4!高すぎるぞ!死にた
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