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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
17.初陣T
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ェックを入念に行った。整備班を信用していないわけではない。しかし自分の命を託す機体のチェックは自分がやりたかった。初陣衛士の平均生存時間は八分。その死の八分を乗り越え再びここに戻ってこれるかどうか。それを思うと巧は腹の奥から湧き上がってくる吐き気を感じた。柳田と真剣を交えたとき、総戦技演習のとき、日米合同演習のとき。巧は同じような感覚になった時は何回かあったが、それとは比べ物にならない重圧を感じていた。シミュレーターではBETAに何回も撃墜された。その回数が増えるごとに巧は仮想空間での死に慣れていった。戦っている時は実戦さながらの気持ちでも、撃墜された後は網膜投影されたスコアを確認しながら反省するだけだ。しかし実戦で死ねば次は無い。バラバラにされて文字通り死ぬような苦しみを味わった後、この世から消え去り目が覚めることはないのだ。
 巧の精神が乱れ切って、半ば狂ったように機体のシステムチェックをしているとき、作戦に参加する全衛士に通信が入った。
「諸君、おはよう。私は本作戦の指揮をとるパウル・ラダビノット准将である。作戦開始まで後120分。既に各隊で聞いていると思うが作戦の概要を確認する。」
 巧たちキメラズの初陣を飾る作戦はボパール・ハイヴ連続漸減作戦という名称がつけられていた。
 ボパール・ハイヴは1990年にインド亜大陸の中央に造られた13番目のハイヴであり。EU戦線崩壊後、核兵器の使用によって何とか食い止めていたBETAの東進が再び活性化した契機を与えたハイヴである。オリジナルハイヴの南方に直接位置し、その豊富な人材と広い土地を利用した戦術でオリジナルハイヴから出てくるBETAを削っていたインド軍が敗北したことで戦線が伸びきってしまったため統一中華戦線はBETAの侵攻に持ちこたえられなかったのである。
 そこで国連軍、大東亜戦線を含め各国の軍隊が力を結集して大規模な漸減作戦が決行されようとしていた。連続して漸減作戦を仕掛けることで一時的にボパール・ハイヴ内のBETA数を減らし、その後ハイヴ占領戦を行いインドからBETAを駆逐と戦線を立て直しを行うという計画である。その第一弾に巧たちキメラズは選ばれていた。
 

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