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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
17.初陣T
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ろう。貴様らが全員死んでも計画は本土の部隊がやるだけだ。それに栄えある帝国の新型を扱って死ぬようなら貴様らの命に価値はない。話は終わりだ。分ったらさっさと訓練に戻れ。私には用事がある。」
それを聞いた時キメラズ全員が悟った。この上官に軍人として、否、人としての正しさなど欠片ほどもないということを。まだ知り合って間もないが岩崎が毎晩のように街へくり出し酒と女に溺れていることは全員知っている。戦術機の知識もなく、任務に対する責任感もなく、権力だけ振りかざす。しかし軍において上官の命令は絶対。
結局キメラズの隊員たちは実戦の日時を遅らせることも希望を得ることもなく、ただただ絶望の中で岩崎が部屋を出るのを見送ることしかできなかった。
◆
瀬崎side
このカルカッタ基地に来てから数日、突然の辞令に焦ったが状況は呑み込めてきた。どうやら俺がCIAのスパイとして活動していることがばれてしまったらしい。いや、ばれたというよりは疑われていると言ったところか…。完全にばれていれば左遷なんて生易しい処罰で終わるはずがない。この罰ゲームのような異動はおそらく厄介払いだろう。全員ではないが何人かの名前は知っていた。軍需物資の横流しの噂がある奴らだ。
もしCIAと繋がっている証拠をつかまれていれば薬物や催眠を使った尋問、下手をすれば拷問で廃人なんてこともあり得るだろう。それを考えれば今の状況は捨てたもんじゃない。連絡手段がないとはいえ新型の情報も手に入った。これを手土産にすれば帝都での諜報活動などしなくても俺の評価は鰻登り。晴れて米国人としての市民権と安全で裕福な生活が保障されるだろう。そうすれば貧乏で陰気な帝国とはおさらばだ。
俺も若いころは帝国に忠誠を誓った軍人だった。ヨーロッパの戦線で地獄を見るまでは人類の明るい未来と、帝国の繁栄を夢見ていたものだ。今思えばアホらしいことだが…。仲間が半分ぐらいBETAに食われたころにCIAからの誘いが来てそれに乗ったが、それがなければ今頃俺もBETAの糞になっていただろう。あんなふざけた戦いはこりごりだ。
だがインドでの戦術機試験を超えなければ俺に未来はない。扱いが難しく検証すらまともにやっていない戦術機、新任や初陣を済ませていないガキ、短い訓練期間、無能な上官。こんな部隊で生き残れるとは思えない。何とかしなければ…。
一番有効なのは上官の買収だ。死なない一番簡単な方法は戦場に出ないことだ。だがそれは難しい。衛士の訓練で怪我をする可能性があるのは格闘訓練ぐらいだが、試験部隊であるキメラズの訓練でそれはない。仮病などは軍医が見れば一発だ。
しかし上官を買収してしまえば特殊任務とか適当な理由で実戦を避けることができる。俺の上官と言えば周防大尉と岩崎参与だが、先ほどの遣り取りを見れば買収するなら岩崎参与の方だろ
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