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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
16.キメラの産声V
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がら機体に掛かる空力を計算し理想的な機動を導き出そうとしていた。本来なら技術士官である西谷がやるべきことだが、機体の理解を深めるためにも巧は自分がやると言ってきかなかった。
「やっぱり補助プログラムが欲しいな…。慣れれば何とかなるけど、それまでは機体の方で調整してもらわないと難しい…。」
 呟きながら作業をしていると、昨日浴場で鉢合わせした春日志乃が話しかけてきた。
「こんにちは、遠田少尉。昨日はどうも。」
「あ、ああ春日少尉。こんにちは。少尉も戦術機ハンガーで作業を?」
「いえ、遠田少尉がこちらにいたので…。少しお話よろしいですか?」
「作業しながら出良ければ。」
 巧としては手を止めて話を聞いても良かったのだが、昨日のことがあって志乃の顔をまともにみれなかった。作業をしながらの方が気がまぎれるのだ。
「西谷中尉から聞きました。遠田少尉は既に応用課程を修了していると。私を含め他の隊員が応用課程の初期でつまずいているのに…本当にすごいです!何かコツなどあれば教えてほしいと思いまして。」
「春日少尉の機体は不知火でしょう?私の意見は参考になりませんよ。担当の技術士官に意見を仰いではどうですか?」
「担当はあの岩崎参与です…。」
「ああ…なるほど。」
 名目上ではあるがキメラズの監督を務めている岩崎がボンクラだというのは既に多くの隊員が気づいている。技術廠から派遣されたというのに戦術機について訓練兵レベルの知識しかないのだ。質問しても『仕様書を読め』『自分で調べろ』とはぐらかしては『無能が!』と嫌味を言ってくる。
「ですから訓練が一番進んでいる遠田少尉に意見を伺いたくて…。」
「そうですねぇ…。自分は他の衛士と比べて環境が良かったから春日少尉に適した助言ができるとは限りませんが―――」
 巧はSES計画について話し、自分の優秀さはそれによって培われた衛士適正のおかげであると話す。
「はぁ…苦労されてきたんですねぇ。でも遠田技研と言えば有名な兵器メーカーじゃないですか。SES計画って何で必要だったんですかね。」
「他の三社との競争のためですよ。戦術機開発に乗り遅れた分を優秀な衛士を開発に協力させることで取り戻す。気の長い計画ですがね。」
「米国の兵器メーカーとの提携を狙った方が効率的だと思いますけどねぇ。」
「親父も昔はそうしようとしたみたいです。でも今となってはそれも無理でしょう。新型が制式採用されれば今後十年はそれがメインになります。米国側からしたらわざわざ弱小の遠田技研と組んでまで日本の市場を狙うにはリスクが大きいでしょう。親父も今は如何に新型の生産、改良に自社を噛ませるかを考えているでしょう。SES計画って米国との線が切れた親父の苦肉の策なんですよ。独力で戦術機開発に乗り出す為の。」
 自分の会社の内部情報をすらすら
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