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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
16.キメラの産声V
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・慣熟訓練二日目

 二日目の昼過ぎ。巧の訓練は次の段階に移っていた。これまでの訓練は訓練校で受けたものとほぼ同じだったが、今はその発展形、すなわち夕雲専用のプログラムだった。そのプログラムは西谷が独自に作り上げたもので、短時間で夕雲の機体特性を掴み慣熟するために組まれたスパルタプログラムである。

 シミュレータープログラムが作り出した仮想空間の中で巧の駆る夕雲が凄まじい速度で飛びまわる。指定されたポイントに移動し、指定された操縦をする単調なものだったが推進剤が切れるまで全力機動で行わるこの訓練は並の衛士では耐えられないほどの負荷がかかる。
網膜投影によって広がった荒野に赤いマークが灯り、そこを目指して噴射跳躍する夕雲だったが途中で右方向に青いマークが灯る。それを確認するや否や巧は主腕に装備している36mm機関砲の照準をマークに合わせて引き金を引いた。しかしその攻撃はわずかに外れてしまう。機体の向きを急激に変えたために空気抵抗と乱流によって銃身がブレてしまったのだ。
「くっ!またやっちまった…。」
『遠田少尉、焦らないでください。機体の態勢を変えるときに空気の流れを読んで無理のない姿勢に持っていってくんです。少尉ならできますよ!』
 西谷に励まされるが巧の表情は明るくない。朝の訓練開始から六時間シミュレーターにこもって何とか撃震を使っていたころと同じ程度には使えるようになったが、夕雲の力を引き出しているとはいえない。優秀なアビオニクスと刷新された各種機能によって撃震より遙かに高い結果を出しているが、それは衛士の腕ではなく機体の性能に助けられた結果だ。本来の夕雲はブレードベーンや複腕に備え付けられている長刀の空力によって空中での姿勢制御を滑らかに行えるはずなのだがそれが出来ない。重心が高くフォルムが撃震とは違いすぎるために、空力制御の感覚がまだ追いついていないのである。
『少尉、休憩を取りましょう。そろそろ栄養補給しないと倒れちゃいますよ。』
「そうします。西谷中尉、申し訳ないんですが午後はハンガーで夕雲を弄って勉強しようと思います。よろしいですか?」
『そうですね…。実機訓練まで触れる機会もいですから…分かりました。ではそのように。』
 巧を含めたキメラズの面々は未だ実機で訓練をしていない。まだその段階にないからなのだが巧としてはこれ以上の結果を出したければ機体についてもっと良く知る必要があると考えていた。



 戦術機ハンガーで巧は夕雲の機体情報をチェックしていた。時間があるならともかく、六日後に予定されている実戦までに何とかするためには理論面からも理解を深めなければならないだろう。そのためには仕様書だけではなく実際に機体に触れて様々な計算をしなくてはならない。
 巧は端末で午前のシミュレーター訓練の結果を見な
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