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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
16.キメラの産声V
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まる人だったから余り気にならなかった。しかし目の前の女性は何というか、こう……艶めかしい。そういう意味では夕呼以来の衝撃だ。男としては嬉しい状況といえる。
 ただここは軍隊で、裸のインパクトが強すぎてすぐには分からなかったが、よく見ればあの人はキメラズで同じ小隊の春日志乃少尉だ。欲情して下をおったてて良い相手じゃない。気まずすぎる。何とか気をそらして平静を保たねば…。

巧side out



志乃side

 新型の仕様書を熟読していたら遅くなってしまった。キメラズの訓練は三日目か四日目までは個人訓練なので自由に時間を使えるけど、朝は情報共有のためにブリーフィングルームに集まる。そうそう夜更かしはできない。早くシャワー浴びて寝ないといけないわね。
 深夜なのでシャワールームを独占して使える。シャワーハンドルを捻ると温い水が勢い良く出てきて一日の疲れを流してくれる。日本人としてはやはり熱い湯船につかりたいところだけど、ここでは水シャワーなのよね…。まあ最前線ではそれすらもないというしこれでも恵まれている方なのかも知れないけど。
 シャワーを浴びていると浴場に男の子が入ってきた。同じ小隊の遠田巧少尉だ。彼のことは知っている。弱冠17歳の天才衛士。ちょっとした有名人だ。
 少尉はシャワールームに入るなり私を見て固まってしまった。目が泳いだりそわそわして落ち着かない様子。これはあれだ、女性である私に緊張しているということだろう。まあ軍隊で羞恥心をなくすように教育されても若い兵士は女性と一緒に風呂に入るというのは緊張するものだ。軍隊は男社会だしね。
 ただいつまでも固まっていられても困るのでこちらから声を掛けることにする。
「遅くまでご苦労様です、遠田少尉。」
「お、お疲れ様です。春日少尉…。」
 そう言うと素早く物陰に隠れてしまった。タオルで股間を隠し、前屈みだったので彼の下半身で何が起きているのかは分かりやすかったが、指摘しないのが優しさだろう。それに軍隊に長くいる兵士は擦れてしまってああいった純真さが無くなってしまうのを考えると、年相応にかわいらしいともいえるだろう。
「すいません。気を使わせてしまって。すぐ上がりますから。」
「い、いえ!こちらこそすいませんでした!春日少尉が入っているとは思わず!」
「良いんですよ。ここの浴場は男女共用なんですから。こんな事は良くあることです。少尉も慣れないこの先大変ですよ?」
「お気遣いありがとうございます!」
 畏まった少尉が気の毒なのでさっさと上がる。しかしこの時間まで訓練してたなんて良く体力持つわね…。流石は天才衛士。歴代衛士で最高の戦術機適性は伊達じゃないってことか…。同じ小隊の隊員としてもう少しお近づきになった方が良いかしらね。

志乃side out



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