暁 〜小説投稿サイト〜
ヴァレンタインから一週間
第7話  本当に有った怖い話?
[1/7]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「アレは、何年前の出来事やったかな」

 それまでの雰囲気を少し変えて、やや真面目な面持ちでそう話し始める俺。

 それに、ヒマつぶしに俺の体験談を、この目の前の不思議な事を探し続けると宣言した少女に聞かせてやっても良いと思いましたから。今、俺や長門が巻き込まれている、世界が滅ぶような危機を演出されている信じられない話などではなく、有りがちな少し不思議なお話をね。



 その日は、ちょうど今日みたいな、真冬の寒い一日やったかな。
 俺は、お母ちゃんに連れられて、夕食の買い物に付き合わされ、近所のスーパーにやって来たんやけど……。

 その街は少し不思議なトコロでな、畑の真ん中に、いきなり御墓が有ったりするんやけど、そのスーパーの敷地内には用水路が流れていて、その用水路の横には、ぽつんと、ひとつだけ御墓が建っていたんや。
 もっとも、御墓と言うても、昼日中の事。そないに不気味なモンやない。それに、用水路の周りはすべてスーパーの駐車場。墓場独特の雰囲気もない、ごく当たり前の場所やったからね。

 せやけどな。その日は、その御墓の傍にしゃがみこんだ……、そうやな、年の頃なら十歳位の女の子が居った。
 その女の子は、何が気に成るのか、ただ用水路の水の流れをじっと見つめるだけで、顔を上げようとはせなんだ。

 もっとも、近くには小学校も有るから、別に、取りたてて不自然な光景やない。
 俺も、他の通行人達のように大して気にもせず、そのまま買い物を済ませてからの帰り道。

 ……矢張り、女の子は先程と同じ場所にしゃがみ込んだままやった。
 ただ、……今度は、女の子の方が、俺の方をじっと見つめて来ていたんや。

 まぁ、俺の容姿は、主にこの瞳の所為で、チョイと一般的な日本人からは離れているから、その女の子も少し気に成っただけやろう。
 その場ではそう考えながら、その少女の横を通り過ぎ、
 せやけど、やっぱり気になって、通り過ぎてから直ぐに振り返って少女の姿を探した時には、もう既にその少女の姿を見つける事は出来なかった。

 そら、慌てて横を歩いて居たお母ちゃんに聞きましたよ。
 今、さっき、あの用水路の御墓の傍に、夏の小学校の制服を着た女の子が居たよな。……って、ね。
 せやけど、その時のお母ちゃんの答えは……。



「もっとも、何かの見間違いかも知れへんけどな。
 あぁ、そうや。その後、その御墓の周りには、何故かブロック塀が作られて、用水路を覗き込む事さえ出来なくなったんやったな」

 所謂、季節外れの怪談話と言う雰囲気の話。但し、本当に、その時のその場所には、そのおかっぱ頭の女の子が居た可能性も……。無くはない。
 横を走っている川の堤防沿いの道を、首なしの騎馬武者が走り抜ける、とか、その場所
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ