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さまよえるオランダ人
第二幕その四
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「どうしてだ。君は」
「青白い人」
 もうエリックの声を聞いてはいなかった。恍惚とした顔でオランダ人の絵を見て呟いていた。
「貴方の救いは私。和私しかいないのよ」
「もう駄目だ」
 エリックは絶望に耐えられずに遂にその場を去ろうとしだした。
「僕には」
「その時はもうすぐ」
 ゼンタは彼には目もくれず呟き続ける。
「もうすぐだから」
「そうか、ならいい」
 エリックもここに来て遂に諦めた。

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