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さまよえるオランダ人
第三幕その三
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「ゼンタよ、さようなら」
 オランダ人はゼンタに別れを告げて走り去ろうとする。だがそこを素早く回り込んだゼンタは彼の前に出て必死に止めるのだった。
「待って下さい、不幸な方」
「ゼンタ、何をする気なんだ」
「海へ」
 オランダ人は絶望した顔で叫ぶ。
「永遠に海に戻る。私の救済を捨てて」
「救済を捨てて」
「そうだ」
 その絶望した顔で述べた言葉だった。

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