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ヴァレンタインから一週間
第6話  謎の美少女登場?
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も敵わずに、ホトホト手を焼いていた」

 それに、俺の知って居る……。知識として知って居るアイツならば、普通の人間では絶対に相手をする事が出来る存在では有りません。
 俺でも、勝てる可能性は非常に低い相手ですから。

 万全の準備を整えた後にならば、勝てる可能性が出て来る相手、と言い直すべきですか。

「それで、これもお約束のパターンとして登場するのが、民の難儀を見かねた、として登場する正義の味方。この物語の中では、西国に向かう旅の途中の八百比丘尼が、これまでの旅の道中で調伏した一目連(イチモクレン)を引き連れて戦う訳なんやけど……」

 一目連。天目一箇神(テンモクイッコノカミ)の事か、もしくは、三重県の方の伝承に残っている一目連の事か。
 ここ西宮は兵庫県に存在しているから、天目一箇神の方が伝承に残されている場所的には近いけど、三重県の方には八百比丘尼伝説が残っている。

 そして、三重県に残っている一目連の伝承は、片目の龍神の事。

「それで、激烈な戦いの後、見事に討ち果たす事に成るんやけど、その時に、我の如き悪神が悪業を為すのは天の運命(さだめ)。我は故に滅びる事はなし。再び、会いまみえん。と言ってから、首を刎ねられたらしい。
 その後、羅諷の首が天に昇って、天の悪星と化した」

 ……と言う伝承なのですが。

「それにしても、もう少し、後に続く人間の事を考えて欲しいものですよ、ホンマに」

 俺は、深いため息と共に、長い昔話を締め括る。
 そう。もし、この伝承通りの敵が顕われて、片目の龍神の属性を持たされた俺と、人魚姫の属性を持たされた長門に因って退治しろ、と仰っているのならば、もう少し、詳しい情報を残して置いて欲しいのですが。
 弱点とか、そいつが顕われる。……復活する詳しい場所の情報とかを。

 俺としてはね。
 まして、伝承上のアイツは、不死の存在のはずですよ。

「これは、おそらくラーフ。つまり、羅?星(ラゴウセイ)の事とは思うけど、彗星やデカい流星群が、最近、地球近辺を通るなんて言う事もないとは思うから」

 少なくとも、俺の知って居る範囲内ではそんな事実は有りません。
 但し、俺の知って居る事実は、俺の暮らして来た世界の事実であって、この長門有希が暮らして来た世界の事実ではないのですが。

「何を言って居るのよ。あんた、今朝のニュースを見てはいないの!」

 しかし、残念な美少女が、何か良く判らない事を言い出した。それまで以上のボリュームの音量を撒き散らせながら。
 ……この図書館の司書連中は、現在、全員が長い昼休みを継続中らしいですね。

「昨夜、急に発見された巨大なサイズの彗星が有るじゃないの。確か、地球に最接近するのは一週間後のはずよ!」

 
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