第一部第三章 海賊征伐その三
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ですね。二つの星系を手に入れたのはやはり大きいです」
カッサラ星系に隣接する二つの星系は豊かなことでも知られているのだ。
「そうだな。これから暫くの我が国の動きが西方の運命を決定するかもな」
アッディーンは考える顔をして言った。
司令室に来た。あくまで実務を重視した簡素な部屋にアジュラーンだけがいた。
「おお、よく来てくれたな」
彼はアッディーンの顔を見て微笑んだ。
「閣下のお招きに応じ参りました」
アッディーンは彼に対し敬礼して言った。
「うむ。今度の戦いのことでだが」
彼はアッディーンを見詰めながら言う。
「君は少将となった。そして新たに新説される艦隊の司令官となった」
「私が艦隊司令ですか?」
アッディーンは思わず問うた。
「そうだ。艦隊といっても新設されたばかりでその規模は他の艦隊の半分程度だが」
オムダーマンでは艦隊司令になるのは本来では中将以上とされているのである。
「そうですか。しかし艦隊司令に任命されたのは嬉しいですね」
「そうだろうな。最もやりがいのある仕事と言われているからな」
アジュラーンは笑って言った。艦隊司令はオムダーマン軍の中では特に人気のあるポストなのである。
「さて、早速だが君に任務がある」
「何でしょうか」
彼は問うた。
「君はカジュール公国についてどう考える」
カジュール公国とはカッサラ星系にある小国である。西方では最も勢力が小さいがミドハドと友好関係にありそれにより国を保っている。いわば属国である。
「カジュールですか」
彼はその名を聞いて思案した。
「これは私の仮定ですが」
彼はそう前置きして話しはじめた。
「今後ミドハドとことを構える場合何かと邪魔な存在になると思います。それにあの地を押さえればミドハドに侵攻する際に二方向から攻めることが出来るようになり我等にとって好都合かと思います」
「ふむ、君はそう思うか」
カジュールの兵はあまり多くはない。規模にしてオムダーマンの一個艦隊程度である。だがその後ろにはミドハドがいる。
「実はカジュールに侵攻しようという考えが軍の上層部から出ているのだ」
「よいお考えかと。ミドハドの兵が引き揚げている今は絶好の機会です」
「だが我々も余分な兵はない。サラーフの存在もあるしな」
サラーフは今先の敗戦の借りを返そうと画策している。特にこのカッサラ星系を虎視眈々と狙っていた。
「だが君の艦隊だけは別だ。新設されたばかりだしな」
「はい」
彼は答えた。そしてアジュラーンが何を言わんとしているか察した。
「今回のカジュール侵攻には君の艦隊にやってもらおうという話になっているのだ」
「失礼ですが閣下」
彼はアジュラーンに対して口を開いた。
「カジュールは確かに小国です。しかしそ
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