第一部第三章 海賊征伐その二
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なかった。
「大した自信だな。それを実践するとはより凄いが」
アジュラーンはそれを聞いて言った。
「だが貴官のおかげでこの星系の治安はかなり良くなった。そして軍も強化された。これは私からも礼を言おう」
「有り難うございます」
アッディーンは敬礼して答えた。
「その功により貴官は准将になった。今日首都から連絡があった」
「私が准将ですか」
彼はそれを聞いて思わず口にした。
「どうした?嫌なのか」
アジュラーンはそれを聞いて悪戯っぽく口に笑みを浮かべた。
「いえ」
アッディーンはそれを否定した。
「私も上級大将になった。ここに駐留する艦隊の規模も大きくなったしな」
「おめでとうございます」
「うん。そしてアッディーン准将、君は戦艦アリーの艦長の任を解くことにした。そして分艦隊の指揮官になってもらう」
「分艦隊のですか」
「そうだ。高速機動部隊を率いてもらう。戦いにおいては先鋒を務めてもらう。どうだ、やってくれるか」
「喜んで」
彼は答えた。こうしてアッディーンは准将に昇格し分艦隊の指揮官に就任した。艦隊はアジュラーンの言葉通り高速戦艦及び高速巡洋艦から編成される部隊でありその数約千隻。小規模ながら精鋭揃いの艦隊であった。
「旗艦はアリーのままですね」
新たにアリーの艦長となったソホラープ=ムラーフ大佐がアリーの艦橋においてアッディーンに問うた。歳は三十代後半といったところか。黒い髪に濃い顎鬚を持っている。
「ああ。この艦の速度はかなり速いしな」
アッディーンはそれに対し答えた。
「それに電子設備もこの艦が一番いい。特に問題はないだろう」
「はい」
ムラーフはそれを聞き答えた。
「それでは早速訓練を開始するとしよう。敵は待ってはくれないからな」
「了解」
そしてアリーは港を後にした。その後ろを彼が率いる千隻の艦隊が従っていた。
サハラ西部は多くの勢力が入り乱れている。大小合わせて七つ程だがその中でも大きい勢力は三つ程である。
一つはサラーフ王国。西方の約半分を占めるこの地域最大の勢力である。その国力は高くサハラにおいてもかなり強大な勢力である。
そしてアッディーンがいるオムダーマン共和国。第三勢力であったがカッサラ星系を手に入れたことによりその勢力はかなり強くなっている。今や第二勢力とさえなりつつある。
その第二勢力がミドハド連合である。それぞれの星系の政府から成る連邦国家でありカッサラ星系から見て東にある。領土はそれ程広くはないが星系はそれぞれ豊かであり人口も多い。とりわけ資源が豊富なことで知られている。
彼等もまたカッサラ星系を巡って争ってきた。そしてサラーフやオムダーマンと血みどろの戦いを繰り広げてきたのだ。彼等の艦艇はそれ程優秀ではないが数が多くそれによる
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