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故郷は青き星
第十九話
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司令官に前世の記憶があるというのは冗談でよろしいのでしょうか?』
「冗談じゃないよ!」
『えなりかずき風に』
「じょうどんじょのいよ」
『完璧です。ネイティブとしか思えない日本の無駄知識……まさか本当に司令官は?』
「どういう確認をしてるんだよ!」
 エルシャンは心底疲れ果てた。

『つまり地球の日本国で事故により死亡した後で、フルント星でエルシャン・トリマとして生まれ変わったと言う事ですか』
「そういうことだ。やっと納得したか?」
『納得はしておりません。この件に関して検証を始めると論理矛盾が発生するので例外的な大前提情報として登録しました』
「まあどうでも良い。それで地球人としての記憶はあるが、特に何かが出来ると言うわけでもなかった……唯一不満だったのがフルント星の飯の不味さで、自分が旨い食事を食べたいという一心で地球の料理を、手に入る食材や調味料で再現していただけだった。地球に関わることは無いと思ってたからな……そのせいでお前にばれるとは思ってなかった」
『帰りたかったんですか?』
「そう思うことも少なくなかった。だけどフルント星での暮らしも嫌いじゃなかった。地球にも家族や友人がいたがフルントの家族も大事だった……だから地球の事は忘れて、今の家族を大事にしようと思った。あの星で幸せになろうと思ったんだ……」
『司令官。私は司令官が幸せになることを願っています』
「そうか……」
『その為には友達は作った方が良いと思います』
 マザーブレインは、地球には家族と友人がいたがフルントには家族はいても友人がいないという事を、エルシャンの言葉から導き出していた。
「ほっとけよ!」
『私のことは友人にカウントしないでください。他人に知られて恥をかくのは司令官ですから』
「するか!」


 第61代アメリカ合衆国大統領。第55代大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュ以来のWASPの大統領。強硬な保守派である事など、マザーブレインは事前に調べた情報を耳元で囁く。
 本当に色々と情報収集していたんだとエルシャンは小さな驚きを覚える。
『初めまして大統領閣下。私はエルシャン・トリマと申します。連盟の公使としてやってまいりました』
 最近は人と話すたびに最初に口にする「こんな格好で失礼します」を枕詞代わりにした上で挨拶の言葉を口にした。
『初めまして公使閣下。アメリカ合衆国大統領アルバン・ダン・ビューレンです。異星よりのお客人と出会えて光栄です』
 60代に入ったばかりだろう。今政治家として脂乗り切った時期のアルバンは、世界で始めて宇宙人と交渉を行う国家元首が自分であることと同じくらい、その国が愛するアメリカ合衆国であることを誇りに感じていた。

『ところでお身体の具合はどうですか?』
『恥ずかしながら、自分の足で立
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