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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
第七話「朱染千夜はシスコン」
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とは、まさにそういうことなんだ。復讐をするなとは言わない。寧ろ俺の可愛い妹を酷い目に遭わせた人間というのを俺が殺したいくらいだ。だが、俺はそれだけは実行しない。なぜだかは、言わなくてもわかるよな?」


「ええ」


 しっかりと頷く亞愛に微笑み、その頭をくしゃっと撫でる。


「分かっているなら良い。復讐? 大いに結構。むしろやれ。だけど――」


「――無関係な人を巻き込まない」


「是那?的事(そういうこと)」


 席を立ちあがった亞愛はお袋に向き直ると大きく頭を下げた。


「お母様……その、ごめんなさい! 私が間違っていました……」


 お袋も立ち上がり亞愛の顔を上げさせると抱き寄せた。


「いいのよ、もういいの……。私の方こそごめんなさい……あなたのことを解ってあげられなくて」


「お母様……」


 お袋の胸の中で涙を流す亞愛。お袋も静かに涙を零した。その涙は歓喜故か、それとも――。


「あの、兄様……」


「ん?」


 しばらくして抱擁から解放された亞愛は気が付けば俺の目の前に立っていた。顔を若干赤く染めて世話しなく視線を彷徨わせている。


「その、お兄様にも迷惑をかけて、ごめんなさい。私のせいで一度死んでしまったし……お兄様が諭してくれなかったら、どうなっていたか……」


 しおらしく俯く亞愛の姿に苦笑した俺は立ち上がり彼女の頭をポンポンと叩く。


「まあ、なんだ。気にするな。俺は亞愛の兄だからな」


「千夜兄様……!」


「おっと!」


 抱きついてくる亞愛。今までこんな反応を見せてくれたことが無かったため、俺はいま猛烈に感動していた。この世界に来てから、どうやらシスコンになったようだ。


 ――ところで、なんで俺の身体は縮んでいるんだろうか? 前の世界では外観年齢は二十歳の身長一八〇センチだったのに、今は十五歳の一六五センチだし……。


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