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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
第七話「朱染千夜はシスコン」
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「……あの時、兄様は確かに死んだはずなのに、どうやって生き返ったの?」


「そう、それよ! 兄様が死んだってどういうことなの!?」


 心愛が机をバンッと叩く。隣の刈愛に宥められながらも、鋭い視線を俺に向けていた。


「落ち着け。ちゃんと話すから。――俺が殺された、というのは少し前に亞愛と決闘をしてな、その結果だ。そして生き返ったのも俺の『力』によるものだ」


「決闘って、またなんで?」


「ああ、まあ……なんだ。少し喧嘩になってな……。まあ、それはいいんだ。もう過ぎた話だから」


 こんなところか? ――ああ、そうだ。まだ話していないことがあったな。


「最後は三年前の俺が森の中で倒れていたという話だな。これも俺の『力』に関わる話のため詳しいことは言えないが、ちょっとしたアクシデントに遭ってね。その影響で身体損傷と記憶喪失に見舞われた」


「そうなの……。でもよかったわ、記憶が戻って」


 お袋が微笑む。照れ隠しに紅茶でのどを潤す。


「でだ、今回、アルカードが復活してしまった件についてだが」


 ビクッと身体を震わす亞愛。お袋はそんな亞愛を心配そうな目で見つめている。


 俺はそれらを尻目に、言葉を続けた。


「これは偶然の重なった結果だ。萌香はお袋の真祖の血を受け継いでいてな、今回その萌香に流れる血が覚醒してしまったんだ。何故、覚醒したかは俺にもわからない。もしかしたら自然と覚醒するかもしれないし。そうでないかもしれない。ただ、その覚醒によってアルカードもまた目覚めてしまったんだ。なぜアルカードも覚醒したのかは後でお袋に聞くように」


 冗談めかしてそう言うと、知らないうちに俯いていた亞愛が勢いよく顔を上げた。お袋が俺に微笑む。


「まあ、ということで、全ては偶然の産物。誰が原因でもないんだ。強いて言えばすべての元凶であるアルカードが悪い」


「そうだったの……」


「そんなことってあるものなんだねー。っていうか、お姉さまって真祖だったの!?」


 神妙な様子で頷く刈愛の隣で心愛が素っ頓狂な声を上げた。


「ああ、そうだぞ? というよりお袋が真祖だからな。生まれてくるときは難産で赤ん坊の萌香は今にも死にそうだったらしく、蘇生のために血を分けたらしい」


 心愛がそうなの? とお袋に視線で問うと、彼女は頷いた。


「ええ、千夜の言う通りよ。今まで黙っていてごめんなさい。萌香も含めてあなたたちには真祖とか関係なく幸せに過ごして欲しかったの。……今ではちゃんと話すべきだったと反省しているわ」


 覇気のない声でそう呟くお袋は自身を責めているかのようだった。


 ――お袋
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